これまたぶっとんだ奇策をぶち上げた。
弘南鉄道は7月8日までに、
大鰐線の運賃を7月16日から11月までの土日祝日に限り、
何と一律100円に設定することを発表(子供運賃は50円)。
通常、中央弘前~大鰐間の運賃は440円かかるため、
実に340円も安くなるという訳だ。
担当者曰く、「9月に弘南鉄道開業から95年を迎えるにあたって、利用者が減っている大鰐線を少しでも盛り上げたい」
とのことだそう。
無論、大鰐線と言えば利用減により数年前には廃線の方針を突如ぶち上げ、
沿線自治体や利用者からの要望により一旦引っ込んだものの、
コロナや沿線の人口減も相まって依然として厳しい経営状況に立たされている。
担当者も、「過去イチ思い切った企画」とコメント。
まさに弘南鉄道にとっては大鰐線を盛り上げるための苦肉の策と言ってもいいだろう。
さて、今回の「大鰐線休日運賃100円企画」であるが、
見るべきところとしては、
- 企画自体に利用者が興味関心を持ってくれるかどうか?
- 最終的な目的としては大鰐線の慢性的な赤字解消のための企画なのか?
個人的には主にこの2点を重要視している。
まず、企画自体に利用者が興味関心を持ってくれるかどうか?
についてだが、
これは鉄道事業に限らず、
普通のビジネスをやっていくうえで非常に重要なことである。
このご時世、消費者の目線はかなり厳しいものだ。
ましてや今はコロナにより収入が減っている人も数多く存在することから、
更に消費者のお財布のひもは硬くなっている。
そのため、いくら運営側が良質なコンテンツをつくり安くしたとしても、
消費者側がその商品やサービスに対し大きな価値を感じなければ当然利用しない。
これは現代ビジネスの基本中の基本である。
今回、休日に限り大鰐線を一律100円で利用できるという企画だが、
果たしてこのサービスに対しどれほどのお客が興味をそそってくれるのだろうか?
ここが企画の評価のポイントとなる。
「お、休日運賃100円なら乗ってみるか」
という人もいれば、
「休日運賃100円と言っても用事がないから乗らない」
「買い物は基本的に車で行くから電車には乗らない」
という人も当然いるだろう。
というか、大鰐線の現状を見る限りでは、
やはり後者の人が大多数を占めているはずである。
ここの層をいかにして増やすかが重要だ。
次に、最終的な目的としては大鰐線の慢性的な赤字解消のための企画なのか?
であるが、
これは弘南鉄道が本来どういう趣旨で企図したかによって評価が変わる。
実際問題、大鰐線の赤字はそう簡単には解消できない。
が、最終的な目的として大鰐線の慢性的な赤字解消のために企画をぶち上げたのなら、
それはちょっと狙いがずれている。
運賃を100円にすれば利用客が増える=赤字解消になる
という発想は間違いだ。
利用客そのものが多少増える可能性はあるかもしれないが客単価的には下がる。
よって、この企画で赤字を解消させるという魂胆なのであればそれはナンセンスである。
ただ、あくまでも大鰐線の知名度を上げたい、
大鰐線に興味を持ってもらいたい、
それがメインの目的なのであれば自由にやってもいい。
今回の企画自体は個人的にも魅力がある内容と思うが、
自分の首を自分で締め付けることにならない程度で大鰐線を活性化してもらいたい。
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