【津軽鉄道ピンチ】観光頼りが響いて収入が70%も減少!? そこは不動産事業で安定収入を

青森鉄道ニュース

コロナにより観光客が急減したことで、

全国的に鉄道会社の経営はこれまでにないほどピンチを迎えています。

5月20日付けの東奥日報朝刊によると、

我が青森県でも津軽地方を走る津軽鉄道がかなりのピンチを迎えており、

4月の利用者数は前年同月比63%減の1万483人、

収入に至ってはなんと前年同月比72%減の299万円となり、

これまでにないほど経営がひっ迫しているようです。

津軽鉄道といえば例年春に五所川原市の芦野公園で桜まつりが開かれるたびに、

大勢の観光客が鉄道を利用しています。

しかし今年はそれが中止になったことで観光客はほとんど来なくなり、

同時に鉄道利用者も大幅に落ち込んだということです。

それにしても、収入70%減少という数字はどちらかというと飲食店などで見られる光景であり、

鉄道会社でこれだけ高い数字を記録しているケースは少ないと思われます。

青い森鉄道でもコロナにより利用者数が減少しましたが、

記憶が確かならば減少幅は3割程度であったため、

津軽鉄道と比べ割と軽傷で済んだといえるでしょう。

それだけ津軽鉄道は観光需要に依存しているということですね。

この惨状に対し津軽鉄道では東北鉄道協会会長を務める三村県知事に、

補助金の拡充を求めるよう要望書を提出し認可されたそうですが、

とは言っても県では津軽鉄道以外の交通機関にも支援を行う必要があるため、

果たして津軽鉄道だけでどの程度支援が入ってくるのかが疑問です。

実際に青い森鉄道への支援としては、

当ブログでも腐るほどお伝えした、

あの線路使用料の減免措置を講じたことによる県の負担額も増したことでしょうし、

弘南鉄道についても利用者数減少が続いているので、

こちらにも今後何らかの支援をする必要が出てくると思われます。

要は何が言いたいのかというと、

鉄道経営は受け身でやるべきものではない

ということです。

補助金も限度があるのでどの程度の額が入ってくるのか不透明なうえ、

当然ながらいつまでも貰えるわけではありません。

なのでもう少し攻めの姿勢に入るべきです。

そして、鉄道経営については、

必ずしも本業である鉄道だけに全力を注ぐ必要はないと思われます。

というのも、全国の鉄道会社では鉄道事業以外にも、

面白いほど色々なジャンルに手を染めています。

つい最近の話だと5月19日にJR東日本では、

不動産事業として山手線沿線に新たに賃貸住宅219戸をオープンさせることが決定し、

マンションの入退出管理では自社ご自慢のsuicaをタッチすることで済ませるなど、

まさにJR東日本らしいビジネスを開拓しています。

またJR九州に至っては鉄道事業よりも賃貸住宅や駅ビル開発に命を懸けるなどして、

三島会社と言われながら見事上場を果たしています。

本当に鉄道会社か?とつい首をかしげるレベルにまで不動産事業はヒートアップしている模様です。

このように、鉄道会社にとっては賃貸住宅や駅ビルなどの不動産事業は、

かなり都合のいいビジネスでもあるのです。

というのも鉄道会社は昔から鉄道事業と不動産事業をセットに行ってきた経緯があります。

代表例としては阪急電鉄。

ターミナル駅で百貨店をオープンさせたり、

宅地開発や宝塚劇場といった娯楽開発にも手も染め、

鉄道事業と不動産事業両方の収益拡大に成功しました。

さらに、使われていない鉄道用地として余っている部分も多く、

そこに資源を自社沿線に集中させることによって成功しているケースも見られるほど。

小売業界などで娯楽施設を造ったのはいいが人が来ないというパターンもありますが、

鉄道会社には既に自前の移動手段があるので、

端的に言えば半ば強制的に自社線を利用させ、

娯楽施設の訪問者数や鉄道事業の利用者数および収益拡大につながりやすいのです。

やり口は多少異なりますが、

青い森鉄道でもダイナミックに学校を自社沿線に移転させ学生の利用者数増加を図るなどして、

ある程度の成果を収めています。

・・・ということで、津軽鉄道でも生真面目に鉄道事業ばかりに力を入れるのではなく、

もう少し俯瞰的な立場で自社の経営を見直してみればどうかと思われます。

先ほどのJR東日本ように賃貸住宅の開発というのは割と成功率が高いです。

なぜなら、駅チカに賃貸住宅を開発することで、

利用者の多くはおのずと通勤通学目的で自社線を利用することになり、

その分の収入が入ってきます。

また、地方と言えども最近は便利な駅チカが好まれる傾向にあるので、

観光依存かつ社会情勢に左右されやすい鉄道事業と比べれば、

少なくとも安定的な事業ではないでしょうか?

賃貸住宅は人が住んでいれば必ず収入が入ってくるので、

見通しが立ちやすい事業とも言えるでしょう。

このように、規模に関係なく最近の鉄道会社は、

収益が起こりやすい不動産事業で稼いで、

それを鉄道事業に回して運営していくというパターンが主流になってきているので、

津軽鉄道でもこういった発想があれば生き残れると思います。

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