コロナによる影響で地方鉄道は大ダメージを受けている。
弘南鉄道は6月24日の株主総会において、
2021年度の経常収支が過去最大の、
1億9836万円もの大赤字をたたき出したことを明らかにした。
経常収支が赤字となったのはこれで11年連続となり、
一向に赤字経営からなかなか抜け出せないのが悩ましいところである。
各路線の利用者数に関しては、
弘南線は前年度比0.2%減の101万531人、
大鰐線が同じく1.4%減の31万8777人となり、
慢性的な赤字路線である大鰐線のほうが減少率が高いのも課題。
これまでは大鰐線の赤字を弘南線の黒字で埋め合わせるのが約束となっていたが、
もはやこれでは両路線のテコ入れが喫緊の課題である。
因みに営業収益のほうでは、
企画列車運行や車両基地見学、修学旅行生の受け入れなどの効果もあって、
前年度比1.1%の309万円と増収を記録していた模様。
しかしながら、依然として国や県、沿線自治体からの補助金頼りからは抜け出せず、
今回は1億5475万円の補助金で補填した。
一方、黒石駅となりにあったスーパー(コープあおもり黒石店)に関しては、
赤字や老朽化などにより2020年6月に閉店し、
同年12月中旬までに物理的にBAN(解体)されてしまった。
その跡地は売却して正常な取引をできるように努力すると弘南鉄道船越社長は語ったが、
駅隣接という絶好の好立地であるため、
どうにかして商業施設などの誘致を行い駅前の活性化につなげるべきである。
現在は、駅舎となりは更地となっており、
何とも寂しい雰囲気を漂わせているのが実情。
駅とスーパーがゼロ距離でみっちりくっついていた光景は、
全国的に見てもそう多くはないため、
消えてしまったのは何ともやるせない気分である。
個人的にコープが潰れた理由としては、
クルマ社会であるにも関わらずコープの駐車場が小さく、
集客力に欠けていたのが要因かと思われる。
屋上駐車場があったとはいえそれ込みでも100台行くか行かないか程度。
ストリートビューを見てもらうと分かるように、
地上の駐車場はお世辞にも広いとは言えず、
まるで送迎用レベルのスペースしかない。
どおりで赤字になるわけである。
スペース的に厳しいが、
ここの跡地をいかにしてうまく復活させるかは黒石市の行政力次第であろう。
一方、津軽鉄道に関しても2021年度の経常収支が4741万円の赤字となってしまった。
21年度の利用者数は前年度比5.6%増の約18万6700人で、
前年度と比べれば利用者数は多少増えたようだが、
さすがにコロナ前の水準までには回復しなかった。
また、津軽鉄道も同じく国や県、沿線自治体からの補助金を受け入れているが、
そのおかげで当期純利益は1914万円の黒字となっている。
ただ、金融機関からの借り入れ金返済が2023年度から始まるということもあり、
当期純利益は黒字になったが借り入れ金の返済が始まれば経営は”トントン”といった模様だ。
とは言え、最近は首都圏からの観光客も回復し始め、
更にはインバウンドの受け入れも徐々に解禁されていることを鑑みれば、
そこまで暗く考える必要はなさそうである。
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