2023年3月31日に引退する五能線の観光列車「クルージングトレイン」。
その一環として3月の土休日を中心に団体専用列車として運行され、
私も仕事の合間を縫ってようやく乗車することができた。
ということで今回は、
間もなく引退となる「クルージングトレイン」の乗車記録をお届けしようと思う。
◆「クルージングトレイン」の略歴◆
その前に「クルージングトレイン」とはどんな観光列車だったのか?
その変遷を簡単にまとめたものが以下の表である↓
年月日 | 主な変遷 |
1997年3月22日 | 「リゾートしらかみ」青池(初代)として運行を開始 |
2010年11月28日 | 「リゾートしらかみ」青池(初代)としての運行を終了 |
2010年12月4日 | 「リゾートしらかみ青池」の看板は東北新幹線新青森開業と同時に2代目の車両へ移譲 |
2011年 | 「リゾートしらかみ」青池(初代)の車両は「クルージングトレイン」として運行 |
2023年3月31日 | 「クルージングトレイン」引退 |
ご存じの通り「クルージングトレイン」は当初、
初代「リゾートしらかみ」青池編成として1997年3月22日にデビュー。
同年4月1日には秋田新幹線が開業することで、
その機会に五能線を盛り上げようとして誕生した列車であった。
その後、「リゾートしらかみ」の利用者数が好調だったこともあり、
後にライバル的存在となる「リゾートしらかみ」ブナ編成、
続いて「リゾートしらかみ」くまげら編成が続々投入され、
最終的には観光列車としては豪快な3編成も用意された。
しかし、種車がキハ48であったため年々老朽化が懸念され、
2010年12月4日には東北新幹線新青森開業という、
一大イベントが待ち構えているということを鑑み、
初代「リゾートしらかみ」青池編成はこのタイミングで、
「リゾートしらかみ」運用から外されることになり、
「リゾートしらかみ」青池の後継ぎはHB-E300系気動車に託さることになった。
このまま廃車まっしぐらになるかと思われたが、
初代「リゾートしらかみ」青池もしぶとく、
このタイミングで名称を「クルージングトレイン」に変え、
観光列車として細々とではあるが再び稼働し始めたのだ。
そのため、車両も廃車とならず、
化粧直しに車内外所々改装された程度で済んだのである。
そして「リゾートしらかみ」運用から外された後どうなったのかというと、
ここからがまた面白い話になる。
ご存じの通り「リゾートしらかみ」は、
冬場以外は基本的にほぼ毎日運行されている。
しかし、定期的に車両検査を受ける必要があるため、
合間を縫って運休しなければならない。
では、どうするか・・・?
そう、初代「リゾートしらかみ」青池はこの車両検査の日のタイミングを狙って、
名称は「クルージングトレイン」としながらも、
「リゾートしらかみ」の運用に入ったのである()
更に「リゾートしらかみ」運用以外でも、
他の路線で臨時列車や団体列車としての仕事が入り、
意外にも広い範囲で活躍の場を見せているのだ。
悪く言えば「リゾートしらかみ」の「影武者」的存在であるが、
他の編成の調子が悪く出られないときは、
この「クルージングトレイン」の出番となるのである。
◆乗車記録◆
「クルージングトレイン」の主な変遷をご紹介したところで、
最後に乗車記録をお届けしようと思う。
「クルージングトレイン」ラストランツアーでは、
弘南鉄道の車両基地や五所川原の立佞武多を見学するコースもあったが、
今回乗車したのは、
秋田~弘前間を五能線廻りで巡る、
「クルージングトレイン」往復乗車コース。
移動距離にして実に300キロを超えるこれまたシンプルでハードなものであった()
これに加え、このコースはすべて秋田発着であったが故、
前日は青森から奥羽本線で秋田まで行き、
市内のホテルに宿泊し、
帰りはまた秋田から奥羽本線で青森まで戻るという行程であったため、
総移動距離にして「クルージングトレイン」300キロ以上+奥羽本線約400キロの、
トータルで実に700キロ以上かつ、
11時間以上列車に乗ったことになる。
まさに耐久レースの賜物だ()
今回のツアーで初めて秋田駅を訪れたが、
改札口や自由通路の天井が高く実に開放的な駅だと感じた(細々とした内容は時間の都合上割愛)。
そんな秋田駅2番線より「クルージングトレイン」は出発。
休日の朝の8時台ということで駅構内は比較的静寂であった。
これが「クルージングトレイン」の顔面である。
改造はされているもののやはり種車がキハ48だけあって、
特に足回りを見ればその面影は今も健在だ。
側面には今回のラストランツアーのために特別に造られたサボも用意され、
JR東日本秋田支社の熱意が感じ取られた。
続いて車内の様子。
「リゾートしらかみ」運用にいつでも入ることができるよう、
車内のレイアウトは基本的に「リゾートしらかみ」の他の編成と共通している。
特に先頭の展望座席ルームに座ると、
「リゾートしらかみ」と遜色ないクオリティーだ。
車内の洗面台及びトイレである。
こうしてみると、
本当に種車がキハ48なのかつい疑ってしまうほど設備がしっかりしている。
特にトイレは自動センサーで水が流れ、
新幹線のトイレに負けず劣らずのクオリティーだ。
往路の途中である東能代駅では従業員によるお見送りが徹底されていた。
弘前で一旦下車しフリータイムを終え、
再び弘前から復路で秋田へ向かう。
復路では途中、夕日と日本海の絶景が見られることで有名な驫木駅に数分停車。
ダイヤ的にちょうど驫木駅で夕日が見られるようスジが組まれた。
ツアー当日は、ギリギリ夕日が日本海に反射し、
「クルージングトレイン」の車両とセットに”エモい”写真が撮れた。
まさにラストランに相応しいと言える究極の一枚だと我ながら実感している。
秋田県内に入る頃には既に日が落ち暗闇に包まれたが、
車内は間接照明が天井に設置されている関係で、
これまた上品な雰囲気に。
最後の最後に「クルージングトレイン」の新たな一面に遭遇したところで、
ラストランを祝福したい。
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