2024年5月に自動車交通への転換が決定した津軽線蟹田以北。
その後バス及びタクシーへの転換を予定しているが、
具体的な方針はどのようになるのか?
そこで、沿線自治体である外ヶ浜町の広報(7月号)に、
ちょうどいいタイミングで、
バス・タクシー転換の方針が描かれていたため、
これをもとに順番に解説していきたい。
広報そとがはまより引用:2024年7月号(17527KB)
まず、こちらが自動車交通へ転換するにあたり、
今後どのように進めていくかを時系列で表したものである。
緑枠の2024年4月時点では、
既にわんタクが実証実験を開始してから2年が経過しており、
大平山元遺跡や竜飛崎といった観光地が乗降箇所に追加された。
また、外ヶ浜町平舘地区および今別町北東部(高野崎周辺)も
新たにデマンドエリアとしてアクセス可能となった。
わんタク定時便に関しては、
2024年4月より6往復から8往復に増便され、
より使いやすくなったと思われる。
そして赤枠の2025年4月以降の計画では、
資料の通り「自動車交通へ転換」と大々的に明記されているのが分かる。
つまり、津軽線蟹田以北は2025年4月を目途に廃線となり、
営業が終了するということだ。
で、赤枠の欄をご覧いただくと、
駅舎整備、待合所整備、
それに乗降箇所追加、蟹田駅1番線発着化といった事項が記載されている。
これらについては後ほど詳しい資料があるため、
そちらで解説したい。
そして将来的な構図として青枠の部分を見ると、
町営バスとの統合、キャッスレス化、
それにノンステップバス・ワゴン導入、
大平山元遺跡から津軽中里駅までのデマンドエリアの拡大とある。
わんタク運行開始後も、
既存の外ヶ浜及び今別町営バスは残っているため、
これをJRや自治体が主体となった、
NPO法人が運営するものと統合する計画となっている。
キャッシュレス化に関しては、
既にわんタクにおいてsuicaなどの交通系ICカードが利用できるため、
今後はペイペイなどのQRコードの普及を推進するものと思われる。
あとはデマンドエリアの拡大。
これについては現在、
奥津軽いまべつ駅~津軽中里駅間において、
「愛乗(あいのり)タクシー」と銘打った乗合タクシーが運行されている。
津軽鉄道から北海道新幹線にアクセスできるという、
画期的なルートであるが、
その存在は意外にもあまり知られていない。
よって、この区間もNPO法人が将来的には運営していくものと思われる。
津軽線蟹田以北の具体案として資料があるが、
これによれば三厩~今別~蟹田エリアの山側ルート(県道14号経由)と、
蟹田~平舘~今別エリアの海側ルート(国道280号経由)の、
2系統運行される計画となっている。
名称からして、室蘭本線と函館本線の「海線・山線」の立ち位置と似ているが、
要は山側ルートがショートカットとなり、
海側ルートが迂回経路となる。
交通拠点を奥津軽いまべつ駅及び蟹田駅とするため、
よりスムーズな乗換が可能となることを期待したい。
さて、赤枠及び青枠の詳細についてだが、
これまた内容てんこ盛りの計画となっている。
まず、待合所の整備。
イメージ図では全方位を囲う透明の待合所を整備する模様だ。
青森市営バスにおいても近年、
上図のような待合所が急増しているが、
特に冬場は暴風雪をしのぐために必須の設備となるため、
頑丈なものが必要になってくる。
そして、我々鉄道マニアにとって最も気になる事項として、
廃線後となる旧駅舎の処遇だが、
どうやら地域活性化として残すようだ。
中小国駅~三厩駅の全駅かどうかは現時点で不明だが、
少なくとも今別駅や三厩駅といった、
町の中心駅は何とか解体されずに残るようだ。
津軽線は2004年公開の新海誠映画の舞台となっており、
劇中で青森駅や蟹田駅、今別駅、三厩駅などが登場するため、
現在も聖地巡礼として一定数のファンが訪れている。
このような事情もあってか、
旧駅舎は維持されることが判明した。
最後に蟹田駅の処遇についてだが、
資料を見ると旅客列車はすべて1番線発着とするようだ。
これにより跨線橋階段の上り下りが必要なくなるため、
足腰の悪い高齢者や車いす利用者にとっては使いやすくなる。
それと同時に改修工事を実施し、
バリアフリー化を推進する計画である。
では、2番線・3番線ホームはどうするかというと、
こちらは貨物列車専用となるようだ。
基本的に一般利用者は1番線を利用することになるため、
2番線・3番線ホームへの立ち入りは今後不可能になると思われる(解体されるかは現時点で不明)。
このような感じで津軽線蟹田以北に関しては、
自動車交通へ転換する計画が進められている。
これにより以前の鉄道よりも、
更に利便性が向上されることを大いに期待したい。
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