【東西で発展具合が全然違う!?】話題の新青森駅周辺を調査

地域経済研究

今回は今話題の新青森駅周辺を調査してみた。

新青森駅周辺と言えば、

県都の新たな玄関口であるにもかかわらず、

ホテルや商業施設、

オフィスビル等が一切ない、

言わば「サバンナ地帯」であることは県内外問わず多くの人が周知していることであろう。

東北新幹線全線開業から間もなく9年が経過しようとしている今、

新青森駅周辺は現在どれだけ開発が進んでいるのかについて、

実際に足を運んで調査をしてみたのでご覧いただきたい。

東口は相変わらずサバンナ状態だが・・・?

東口は新青森駅にとっての正面口である。

しかし、ご覧のとおり真正面にはまともな建物が一つもない。

この状態は東北新幹線全線開業から8年経過あたりまで長く続いていたのだから逆に恐ろしい。

大体新幹線駅前には二次交通確保のため、

駅前レンタカーが置かれているが、

この新青森駅でも同様。

しかし、目立った建物がないので、

まるでサバンナ地帯をレンタカー店で埋め合わせしているかのように思えてくる。

調査では新青森駅周辺でも4件ぐらい確認できた。

一方、駅の北側(最初の写真では右側)を見るとどうだろうか?

そう、あの有名な東横インホテルがついに新青森駅に降臨してきたのである。

階数は14階、郊外にあるだけあって周辺は低層住宅ばかりなので、

異様に目立っている。

また、手前のサバンナ地帯(最初の写真)にも別のホテルが着工する予定となっている。

こちらも8階建てと高く、

これら2棟完成すれば周りの景色は様変わりするだろう。

西口は完璧なる医療都市へと変貌

このギャップは面白い()

あれだけ開発が遅れている東口に対し、

西口は総合病院や薬局、

クリニックなどが集結するという立派な医療都市と化している。

しかも総合病院なので安心の24時間体制であるから、

お年寄りが住むには便利なエリアとなっているだろう。

総合病院は7階建てであり、

内装もきれいで上質な空間となっている。

売店もあるので一息つきたいときは寄ってみるのもよし。

正面入口のエントランスにはテーブルもあるので、

ワークスペースとしても使える万能なコンセプトである。

なお、上記の写真手前の空き地も今後オフィスビルで埋まる予定となっている。

また、西口は医療が充実しているだけあってか、

今でも住宅建設が絶えない立派なニュータウンとなっている。

一戸建て住宅のほかにもメゾネットタイプのマンションがいくつかあったりと、

一人暮らしにも住みやすそうな環境である。

確かに新幹線駅が目の前にあり、

奥羽本線も本数が毎時2~3本程度確保されているので、

交通の利便性は高いといえよう。

新幹線駅前のため住民はサラリーマンが多いかと思いきやそうでもなく、

むしろ家族世帯のほうが多い印象にある。

公園では多くの子供が遊んでいたり、

家に停めてある車の台数を見ても、

家族連れが多くを占めていると思われる。

また、あまり焦点が当たらない南口に関してはどうなっているのかというと、

こちらも地味に新興住宅が相次いで建設されている。

付近を通る県道はバスの本数が充実しており、

1時間あたり3~6本もあるので利便性が高い。

戸建てのほかにもメゾネットタイプのマンションが増えており、

住むのには申し分ない環境であろう。

2019年11月現在の新青森駅周辺土地区画整理事業の売却状況 残るは1区画!!

別の記事でも詳しくお伝えしているが、

先日、遂に残った東口2区画の売却が決定し、

レストラン・宴会場と福祉施設が進出することが明らかになった。

これにより全18区画中17区画が埋まることになり、

残るは東横イン北側の1区画だけになるまで登り詰めた。




では、現在の売却状況はどうなっているのか?

青森都市計画事業石江土地区画整理事業一般保留地配置図

青 森 都 市 計 画 事 業 石 江 土 地 区 画 整 理 事 業一般保留地の処分に関する事業提案募集実施要項から引用・加工

上図をご覧いただくと、

水色枠と赤丸で囲った部分が売却済みであり、

既に建物の着工が始まっているないし着工予定となっている区画。

そしてピンク色枠がまだ残っている区画である(上図では⑥-1)。

主要な施設に絞って言うと、

⑥-2は東横イン、

⑨-2はABホテル(本社:愛知県)、

⑤-1~4は青森新都市病院(総合病院)、

⑧がレストラン・宴会場となっている。

また以下の表は進出企業の一覧である。

どのような事業者が進出したか、

また予定処分価格にも注目していただきたい。

区画番号 地積(㎡) 予定処分価格(円) 決定事業者 本社 事業内容
2,178.26 188,201,664 株式会社インポート・プラス 札幌市 自動車販売店
②-1 1,348.60 116,384,180 東北電力株式会社 仙台市 変電所
②-2 1,348.61 115,980,460 東日本電気エンジニアリング株式会社 東京都 オフィスビル
③-1・2 4,074.32 343,872,608 Mik株式会社 青森市 テナントビル
4,846.10 440,510,490 青森県民共済生活協同組合 青森市 オフィスビル
⑤-1~4 6,791.55 713,112,750 医療法人雄心会 函館市 病院
⑥-1 1,964.48 256,561,088 販売中
⑥-2 1,964.47 262,256,745 パルハウス株式会社
東横イン株式会社
徳島市
東京都
ホテル
⑦-1 1,644.81 182,551,710 Mik株式会社 青森市 薬局等テナントビル
⑦-2 3,287.43 347,810,094 株式会社トヨタレンタリース青森 青森市 レンタカー事業所
⑦-3 1,644.62 180,250,352 医療法人雄心会
有限会社南都商事
函館市 立体駐車場
3,581.94 479,979,960 株式会社玉姫グループ青森 八戸市 レストラン・宴会場等複合施設
⑨-1 2,301.35 220,469,330 社会福祉法人ゆきわり会 青森市 生活介護事業所
⑨-2 2,301.33 223,919,409 ABホテル株式会社 安城市 ホテル

現在の新青森駅周辺土地区画整理事業における進出企業は以上の通り。

オフィスビル、ホテル、病院、宴会場・レストラン、自動車販売店など、

これまた多彩な分野の会社が進出しているのが分かる。

株式会社インポート・プラスは、

札幌市に本社を構える外車を輸入して販売する自動車販売店。

北海道外初進出である。

Mik株式会社は青森市に本社を構え、

北東北を中心にメディカル事業・フードサービス事業・ホテル観光事業・都市開発事業などを全国展開している。

一時期経営難でBAN(破産)した中三デパートの株を買い取って子会社化しデパート運営を再生させた救世主でもある。

医療法人雄心会は函館市に拠点を置く医療機関。

青森市西部地区の24時間対応病院の不足を補うために進出した。

ABホテル株式会社は愛知県安城市に本社を構えており、

今回が東北初進出となった。

また、地元資本と県外資本同じくらいの割合であるのが分かる。

北海道新幹線が開業したこともあり、

北海道資本が本州に進出してきていたり、

逆に遠く離れた愛知県や徳島県資本が入り込んでいなど、

面白い光景が見られる。

予定処分価格については、

駅前一等地の割には安めである。

調べたところ、

東京の住宅地であれば200~300坪で買えるほどの値段だそうだ。

まあ青森県全体的に土地価格が安いこともあって、

駅前一等地でもそこまで上がらないのだろうか?

青 森 都 市 計 画 事 業 石 江 土 地 区 画 整 理 事 業一般保留地の処分に関する事業提案募集実施要項から引用・加工

上図は新青森駅周辺の都市計画を表したものである。

駅に隣接する区画はターミナルゾーン(商業地域)、

国道沿道に隣接する区画が沿道業務ゾーン(準工業地域)というように、

要するにこの区画をどのような用途にするかを決めたものである。

青森市が売り出している区画は上図でいうF、E、D、Gであり、

それ以外は住宅ゾーンであるため既に新興住宅で埋まっている。

新青森駅がある石江地区では住居表示を実施した

石江土地区画整理事業/青森市から引用・加工

新青森駅がある石江地区では、

2019年6月30日に区画整理のため住居表示を実施。

大字石江から地区名を変えずに新青森駅周辺に限定して石江1~5丁目が置かれた。

一方で、新青森駅周辺に住んでいる人はどのぐらいいるのか?




以下の表は石江地区における平成19年から令和元年までの隔年の人口である。

町名 H19 H21 H23 H25 H27 H29 R1
大字石江字高間 978 856 836 928 951 1,053 392
大字石江字平山 1,240 1,202 1,206 1,191 1,159 1,134 1,111
大字石江字江渡 2,655 2,631 2,450 2,423 2,341 2,362 2,392
大字石江字岡部 1,754 1,645 1,595 1,588 1,546 1,522 1,561
大字石江字三好 721 720 729 702 673 689 711
石江1丁目 419
石江2丁目 107
石江3丁目 354
石江4丁目 129
石江5丁目 387
合計 7,348 7,054 6,816 6,832 6,670 6,760 7,563

※H19年~H29年は4月時点、令和元年は10月時点の人口である。

※H19年~H29年において石江1~5丁目は「データなし」とした。

東北新幹線全線開業並びに新青森駅開業の年は2010年(平成22年)であるが、

それ以降の人口を分析すると増加傾向にあるのが分かるだろう。

なお、平成29年から令和元年において不自然に人口が増加しているが、

これは人口爆発が起こったわけではなく、

土地区画整理事業により隣接する新城地区などの一部を編入した影響である。

また、大字石江字高間は令和元年を境に激減しているが、

これも土地区画整理事業の一環である住居表示実施による影響だ。

住居表示未実施区域においては人口が減少気味であるが、

新青森駅周辺の住居表示実施区域(石江1~5丁目)では宅地開発が活発に行われていることもあり、

人口が増加傾向にあるようだ。

新青森駅周辺の調査まとめ

新青森駅東口の開発は遅れているものの、

ここ最近においては企業進出が相次いでおり、

遂にはビジネスマン念願のホテルも2棟舞い降りてきた。

散々揶揄されてきた東口については、

ようやくサバンナ状態から脱却しようとしているようだ。

一方、西口は打って変わって総合病院や薬局、

クリニックが揃う確固たる医療都市への路線を歩みだしている。

現在も宅地開発が盛んにおこなわれており、

青森市の新たなニュータウンとしてのポテンシャルを秘めていると感じた。

いずれにせよ、新青森駅周辺は今後の青森市の経済をけん引していく非常に重要なエリアであろう。

調査日:2019年11月24日(日)

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