青森県内の駅を色々な角度から評価し、
使いやすさを浮き彫りにしていくシリーズ企画、
題して「各駅評論」。
29回目は弘前市の中心駅である、
弘南鉄道弘前駅を視察。
言わずもがな、弘南鉄道の駅で最も利用者数が多い。
2017年度の乗降人員データでは2,784人であり、
弘南鉄道の駅で唯一4桁を記録している。
事業者は異なるものの、
JR東日本の弘前駅駅舎と隣接。
互いに行き来可能なため、
同じ建物の中にあると言っても差し支えない。
五能線五所川原駅と津軽鉄道津軽五所川原駅や、
奥羽本線大鰐温泉駅と弘南鉄道大鰐駅のような、
駅舎は別々であるが互いのホームを行き来可能な設計ではなく、
当駅の場合は駅舎はほぼ同じ建物であり、
ホームは互いに行き来不可な造りになっている。
後者のほうがごく一般的な設計であると思われるが、
青森県内には前者のような構造の駅が多い。
また、同じ建物であるにもかかわらず、
JR弘前駅と住所が異なっており、
何とも摩訶不思議な駅でもある。
ということで視察を始めていこう。
アクセスは良いか?(主に国道・県道から、道幅は広いか?)
弘南鉄道の弘前駅は城東口方面に所在しているため、
こちらをメインの入口として評価していく。
城東口の駅前道路は片側1車線をキープしており、
さすがターミナル駅だけあって道幅も広い。
尚、城東口側の最寄りの主要な道路は、
県道109号が南方に、
少し東へ進むと大動脈である国道7号へもアクセス可能。
国道7号には目立った案内標識はないが、
初見でも比較的容易なルートとなっている。
パークアンドライドは整っているか?
さすが弘前市の中心駅だけあり、
駐車場は広大なものが整備されている。
ざっと見積もっても100台近くは収容可能だろうか?
尚、1、2枚目は正面口、
3、4枚目は城東口の駐車場であるが、
いずれも土日祝日に限り弘南鉄道を利用した場合、
3時間分の駐車料金が無料になるサービスが展開されており、
弘南鉄道の利用促進に一役買っているものと思われる。
駐輪場の利用状況もご覧の通り。
学生が多い弘前市だけあり、
自転車も結構な数が停められていた。
駅舎・待合室は綺麗か?(築年数ではなく、手入れがきちんとされているか?)
こちらが弘南鉄道弘前駅の駅舎。
建物内でJR弘前駅と自由に行き来可能であるが、
あえて自動ドアが2か所設置されている点を見ると、
事業者が異なるということを示している。
入口付近の柱には、
定期券の不正乗車に関する掲示物が貼られていた。
特に最近学生による不正件数が多くなっている模様。
やはりこのような不正乗車は、
全国どこの鉄道やバスなどでも度々起こっているものである。
弘南鉄道の券売機はまさかの食堂にある食券スタイル。
実は以前までJRのようなタッチパネル式であったが、
やはり維持費がかさむようで最近更新された。
待合室はご覧のような雰囲気。
何とご立派にも自動ドアが整備されており、
三方を囲むようにしてベンチが置かれている。
JRでさえ2階の待合室は手動ドアであるから、
弘南鉄道の底力を見せつけられているかのようだ。
尚、清掃は行き届いており清潔であった。
改札口はご覧のような造り。
有人駅であるため基本的に列車の発着時間帯でないと、
ラッチ内には自由に入れないため、
改札口の銀色の扉を、
個人的に「鉄のカーテン」と呼んでいる。
尚、改札口の天井には、
なにやら電光掲示板らしきものが設置されているが、
かつては実際に発車標として稼働していたものである。
が、昨今の弘南鉄道の経営状況により、
コストカットせざるを得ず、
今となってはただの掲示板と化してしまった。
改札口には津軽の伝統工芸品である「こけし」が置かれているが、
各駅評論のルールでの”おもてなし”の項目では、
座布団と花壇に限定しているため、
今回は採点の対象外とする。
ホームは青森県内では珍しい「頭端式ホーム」となっており、
車止めが設置されている。
また、比較的最近改修されたのか、
ホームは新しく点字ブロックの設置も端から端まで行き届いており、
かつ、車椅子用の乗降口の看板も上屋に設置さえているなど、
利用者に優しい設計になっているのは高評価である。
尚、6枚目に「5」の看板がぶら下がっているが、
これはかつてJRのホームと通し番号になっていたため、
その名残となっている。
しかし、列車は主に1番線を使用するため、
2番線は予備の扱いとなっている。
弘南鉄道の駅ではお馴染みの、
ホーム上にそのまま置くタイプの停止位置目標が、
ここ弘前駅でも確認できたが、
上屋にも同じものがぶら下がっているため、
果たしてどちらのほうを実際に使用しているのだろうか?
トイレは整備されているか?(ある駅は綺麗か、暖房便座か、石鹸はあるか)
トイレに関してはJR弘前駅のテリトリーにあるが、
弘南鉄道の改札口がJR弘前駅の城東口にあり、
実質、弘南鉄道の利用者はこのトイレを利用することになるため、
こちらを視察の対象とした。
で、肝心のトイレはターミナル駅だけあり、
小便器はセンサー式の水洗トイレであるが、
何と大便器はまさかの和式タイプ()
いい意味で裏切られた気分であるw
また、洗面台には石鹸が設置されていなかったため、
その点は物足りなさを感じた。
バリアフリーが保たれているか?(ホームまでの段差の有無)
先述の通り弘南鉄道弘前駅は頭端式ホームであることから、
段差がなくオールバリアフリーだ。
裏口は整備されているか?(裏口が地理的理由上必要ないと判断した駅は自動的に3点加算)
弘南鉄道弘前駅の視点から見ると、
正面口が裏口にあたるが、
弘前駅は東西自由通路が整備されているため、
どちらからも行き来可能である。
総括
項目 | 点数 | 備考 |
アクセスは良いか? | 4 | 国道7号からは一本でアクセス可能だが、案内が無い |
★▲パークアンドライドは整っているか? | 5 | 城東口、正面口ともに広大な駐車場が整備されているほか、独自でパークアンドライドを推進している点は高評価 |
駅舎・待合室は綺麗か? | 4 | 清掃は行き届いていた |
★▲トイレは整備されているか? | 3 | 石鹸と洋式トイレがあれば尚良い |
バリアフリーが保たれているか? | 4 | 頭端式ホームであるためオールバリアフリー設計 |
★裏口は整備されているか? | 4 | 自由通路が整備されておりどちらからも行き来可能 |
■おもてなしがされているか? | 0 | 「こけし」が設置されているが、座布団や花壇はなかった |
合計 | 24 | 特にパークアンドライドが徹底されている点が高評価 |
※2023年11月15日、2024年9月7日視察
※全駅視察終了後に評価を調整する可能性あり。
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