青森県内の駅を色々な角度から評価し、
使いやすさを浮き彫りにしていくシリーズ企画、
題して「各駅評論」。
21回目は、むつ市にある大湊駅を視察。
大湊線という路線名にも冠しているほど主要な駅である大湊駅。
駅名標はよく見れば4か国語表記になっており、
外国人観光客の利用が多いことも想像できる。
乗った感じでは終着駅であるため、
あたかも本州最北端の駅と勘違いしやすいが、
実際はお隣の下北駅が緯度的に当駅より北に位置するため、
「本州最北端の駅」を名乗る権利はそちらに譲ることになっている。
とまあ、初っ端から皮肉な解説になってしまっているが、
設備的には色々と利用者にとって優しい設計となっているのだ。
早速、大湊駅を視察していこう。
◆アクセスは良いか?(主に国道・県道から、道幅は広いか?)
大湊駅へは国道338号からアクセスすることになるが、
写真の通り片側1車線が余裕で確保されており、
センターラインもしっかりと引かれている。
また、追い越し禁止車線でもあるため、
交通量がそれなりに多いことも想像できる。
駅への案内標識も用意されており、
初心者でも比較的分かりやすい仕様になっているだろう。
尚、1枚目と4枚目の写真を見比べれば分かると思うが、
大湊駅と国道338号同士が接している形でそれぞれ位置している。
駅前道路も広いため車の出入りが楽だ。
◆パークアンドライドは整っているか?
大湊駅のパークアンドは期待して良し。
駅前広場を入って左側に、
無料の駐車場が整備されている。
駐車台数は軽く普通車20台を停められるほどのキャパシティーがあるため、
パークアンドの評価は高いと言っていいだろう。
但し、夏休みやお盆の期間、
年末年始と言った繁忙期は、
鉄道の利用者が一気に増えることから、
駐車場に停められない可能性も出てくると思われる。
その点は少々注意が必要になってくるかもしれない。
◆駅舎・待合室は綺麗か?(築年数ではなく、手入れがきちんとされているか?)
大湊駅の駅舎には色々設計の工夫がされていて実に興味深い。
駅舎正面には、
板を何枚も並べたルーバーが設置されている。
1枚目と2枚目の写真をよく見ると、
同じ写真でも昼間の光景と夜景が映された2種類が存在している。
これは無論、見る角度によって違った絵柄に見える、
いわばアートトリックを駅舎設計に取り入れているのだ。
因みに、いずれもむつ市にある釜臥山展望台から撮った写真であり、
夜景に関しては「アゲハ蝶」が羽を広げ飛び立つ光景に似ていることから、
別名、「光のアゲハチョウ」とも言われており、
日本夜景遺産及び日本夜景100選に選定されているほど。
駅舎左側にはこれまたご丁寧にスロープも整備されているため、
車いすの利用者でもスムーズに駅舎に入ることが可能な親切設計だ。
駅舎内はご覧のような雰囲気。
2010年(平成22年)12月の東北新幹線全線開業を機に、
駅舎がリニューアルされたため建材は比較的新しいものが多い。
天井は木版を並べたルーバー仕様となっており、
どこか解放感が漂う造りだ。
利用者数が多いため椅子もそれに応じた数が設置されているが、
特に列車の発車時刻に近づくと満席になることもしばしば。
尚、駅舎内は清掃が行き届いていた。
待合スペースの隣には、
下北半島の名産品が展示されたコーナーがあり、
観光客へのおもてなしの姿勢も見られた。
大湊駅にはみどりの窓口に加え、
一般の自動券売機が設置されている。
しかし、この自動券売機、
よく見るとごく一般的なタイプとは一味違う。
そう、在来線の切符だけに至らず、
何と新幹線の特急券もここで購入できるシステムになっているのだ。
因みに、具体的に購入できる切符は、
大湊線と青い森鉄道を経由し八戸駅で東北新幹線に乗り換え、
二戸駅、いわて沼宮内駅、盛岡駅の各駅まで、
特定特急券(立席)で利用する場合に限る。
とは言え、一般の自動券売機で新幹線の特定特急券が購入できる駅など、
青森エリアではこれまたレアなものだ。
やはり帰省客の利用が多いため、
このようなシステムを取り入れているのだと思われる。
青い森鉄道と接続する野辺地駅を除いて、
大湊線では唯一の電光掲示板(発車標)が当駅に設置されている。
2段の表示が可能なタイプで、
本数の割には立派な仕様だ。
続いてホームを見ていこう。
まずは1番線ホーム。
駅舎がリニューアルされたとは言いつつも、
ホーム上屋や柱などの設計を見れば、
何ともノスタルジーな雰囲気を漂わせている。
3枚目の写真では、
国鉄時代のホーロー駅名標が未だに飾られていた。
尚、撮影し損ねたため記事では用意できなかったが、
ホームの奥に花壇が設置されている。
観光客の利用も多いため、
こういったおもてなしの設備があると嬉しいものである。
大湊駅は青森エリアでは希少な2面2線を擁する頭端式ホームのため、
ご覧のように線路がホームに向かって突っ走る形で敷かれている。
車止めが見られるのも、
終着駅である大湊駅ならではの光景だ。
視察当日はリゾートあすなろの運行日であったため、
ご覧のように1・2番線に並ぶ形で停車している列車達を撮影することができた。
一方、同じ終着駅である津軽線の三厩駅と比べれば、
こちらのほうが駅舎の規模が大きく利用者も多い故、
“本州の最果て感”としては三厩駅のほうに軍配が上がるだろう。
こちらが2番線ホーム。
観光客の利用も多いため、
しっかりと黄色い点字ブロックが敷かれている。
ホーム上屋に関しては比較的新しいもので、
割と最近になってから設置されたものと思われる。
上図はWikipediaから借用したものであるが、
2003年時点ではご覧のように全く設置されていない。
が、逆に最果て感があって見通しが良いw
◆トイレは整備されているか?(ある駅は綺麗か、暖房便座か、石鹸はあるか)
大湊線の終着駅であり利用者も多いため、
トイレは設置されている。
設備に関しては比較的立派なモノであり、
小便器は自動洗浄で水が流れるタイプ。
大便器においても暖房便座であることが確認できた。
そして洗面台はこれまたハイテクなセンサー式であり、
石鹸も洗面台と一体型となっている。
観光客の利用も多いためか、
トイレの設備は結構しっかりしていた。
◆バリアフリーが保たれているか?(ホームまでの段差の有無)
画像をご覧の通り、
ホームと駅舎に段差は一切ないためオールバリアフリーとなっている。
2番線ホームにおいても櫛型ホーム(頭端式ホーム)であるがゆえ、
自動的にシームレスな移動が可能だ。
◆裏口は整備されているか?(裏口が地理的理由上必要ないと判断した駅は自動的に3点加算)
大湊駅の裏側は基本的に更地であり、
海(陸奥湾)にも近いことから、
裏口の必要性が薄いとし自動的に3点とする。
因みに裏側の更地には、
かつて大畑線の気動車も配置されていた引き込み線があった。
◆おまけ
よく大湊駅は、
駅舎の規模の割には利用者が多いため、
外まで行列が出来る駅として度々ネット上でも有名になっているようだ。
上図は駅舎リニューアル工事前の2007年の様子であるが、
確かに入口前にまで乗客が並び行列が出来ているではないかw
とは言えこの時は2007年。
約15年前であり当時は利用者も多かったから、
2023年の現在ではさすがにこのような行列は出来ないんじゃないのか・・・?
と、最初は予想していたが、
実際に視察終わりに列車に乗ろうとしたら、
文字通り駅舎の入口前まで行列が出来ていたw
視察当日は5月4日で、
ちょうどゴールデンウイークの最中。
とは言え、平日であるためそこまで混雑しないだろうと軽く思っていたら、
この有様である()
しかし、上図をよく見ると、
駅舎の入口前まで行列が出来る理由のヒントが隠されている。
ベンチの横に黄色いテープが貼られているのがお分かりいただけるだろう。
乗客は改札が始まる時間になるまで、
黄色いテープの枠内にコの字の形で並んで待機する。
それゆえ、1列の行列が駅舎の入口前まで出来上がるようになっているのだ。
恐らくは、繁忙期は特に混雑するため、
整列乗車を呼びかけるためこのようなスタイルをとっているものと思われる。
まさに、某テレビ局で放送されている人気の「オ○ウ○い店」レベルの行列だ。
◆総括
項目 | 点数 | 備考 |
アクセスは良いか? | 4 | 国道に接しており分かりやすい |
★▲パークアンドライドは整っているか? | 5 | 普通車20台ほど停められるキャパあり |
駅舎・待合室は綺麗か? | 4 | 清掃が行き届いていた |
★▲トイレは整備されているか? | 5 | 暖房便座、石鹸付き洗面台あり |
バリアフリーが保たれているか? | 4 | 櫛型ホームのためオールバリアフリー |
★裏口は整備されているか? | 3 | 更地のため裏側を整備する必要性が薄い |
■おもてなしがされているか? | 1 | 1番線ホームに花壇あり |
合計 | 26 | 大湊駅の終着駅であり観光客の利用も多く設備は立派 |
※2023年5月4日視察
※全駅視察終了後に評価を調整する可能性あり。
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