相変わらず家に引きこもる時間が長い今日この頃ですが、
皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
因みに私の場合はご存知の通りYouTubeに投稿するための動画編集、
及び今ご覧のブログ執筆のために時間を要している関係で、
ほぼ毎日作業に明け暮れている次第であります()
端的に言えば体を動かさず頭だけ動かしているので意外と疲れるものですw
ということで昨日に引き続き青鉄大研究会をやっていきましょう。
今回は青い森鉄道の運営母体と株主の関係について触れていきます。
まずはこちらをご覧ください。
※<http://aoimorirailway.com/wp/wp-content/uploads/2018/06/5df7d29761e0d7d0af758194fe653541.pdf>から引用
上表は青い森鉄道のホームページに掲載されている事業報告及び計算書類(決算公告)第17期のうち、
青い森鉄道の株を保有しているすべての会社や自治体の一覧をまとめたものです。
まず、青い森鉄道をはじめとした並行在来線事業者の特徴として挙げられるのが、
出資者として地方公共団体(都道府県レベル)が過半数の株を保有しているという点です。
過半数ということは、
つまり51%以上の株を保有しているということになりますね。
そもそもなぜ地方公共団体が並行在来線事業者の過半数の株を買っているのかというと、
要するにBANしないよう並行在来線を維持するためです。
株式会社では株の過半数を押さえると議決権を行使できます。
普通決議の場合、
原則として定足数(議事を行うために必要な出席数)は、
議決権を行使できる株主の議決権の過半数となっており、
これに足らなければ議決権を発動できません。
逆に、過半数を買い占めることによってその会社の議決権を所有することが可能になるため、
例えば、得体の知れないような純民間企業による株乱用を防ぐことができます。
また、地方自治体は赤字を前提として並行在来線を存続させるために、
「第三セクター(詳細は次回あたりに)」という会社体制を設立します。
要は地方自治体が経営に参加することで、
第三セクター鉄道の維持費を負担する目的があります。
そしてこの第三セクター鉄道設立にあたっては、
都道府県・市町村・事業者の責任を明らかにした上で、
住民などに情報を公開して補助金を投入することになります。
先述のように並行在来線はもとから赤字が想定されているところがほとんどですが、
鉄道事業者単独で受け持つとなれば赤字経営が続き、
最悪のケースでBAN(廃線)となった場合、
地域住民の足を確保することができなくなりますよね。
ましてや並行在来線というのは、
旅客列車のほかにも物流を維持する貨物列車の走行もあるため、
鉄路が廃止されてしまうと国内の物流にも大きな支障が出てきます。
そのような事態を防ぐために、
赤字を前提としても自治体が並行在来線の存続を決断するのです。
先ほど載せた青い森鉄道の株を保有する出資者一覧の表を見ていくと、
青森県は議決権比率が68.80%となっていますね。
つまり事実上青い森鉄道をコントロールしているのは青森県ということになるのです(青森県営鉄道のような感じ)。
コントロールと言っても、
これは公的機関である地方公共団体が過半数の株を保有することで、
先ほどの民間企業による強引な参入を防ぐという目的もあると推測できます。
参考までに他の並行在来線を比較してみると、
道南いさりび鉄道は北海道が64.7%、
IGRいわて銀河鉄道は岩手県が54.06%、
しなの鉄道は長野県が73.64%をそれぞれ出資しており、
いずれも過半数を占めているのが分かります。
因みに、出資者一覧において六戸町や七戸町が載っていますが、
これらの町には青い森鉄道の駅が一切ありません。
ではなぜ出資しているのかというと、
町内に駅はないものの線路が通っているためです。
趣旨としては駅が無くても線路が通っていれば出資することになっているのだと思われます。
また、自治体の議決権比率を見てみると、
青森市が最も多い7.63%、
次いで八戸市が6.52%を保有しています。
これは人口の大小で決めているものとつい思ってしまいますが、
東北町では0.97%なのに対し、
おいらせ町は0.85%になっています。
しかし人口では東北町が1.7万人、
おいらせ町が2.4万人。
おいらせ町のほうが人口が多いにもかかわらず、
議決権比率では東北町のほうが多くなっているのが分かります。
これについては恐らく自治体を通る線路の長さと人口をかけ合わせて決めているものと思われます。
三沢市と東北町では三沢市のほうが人口が多いですが、
議決権比率ではほとんど変わりません。
しかしその分東北町のほうが線路が長いため、
これが影響して東北町の議決権比率が上昇しているものでしょう。
ということで今回は青い森鉄道の運営母体と株主の関係について解説しました。
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