【各駅評論#32】津軽鉄道津軽飯詰駅写真集 時が完全に止まった駅&落ち着かないトイレ

交通研究

青森県内の駅を色々な角度から評価し、

使いやすさを浮き彫りにしていくシリーズ企画、

題して「各駅評論」。

32回目は五所川原市にある、

津軽鉄道津軽飯詰駅を視察。

木製で作られた比較的新しい駅名標が特徴。

「飯詰」の地名の由来としては、

名所案内に書き込まれている「高楯城跡」から来ているもので、

これが飯詰城跡の別称であるという。

「飯詰」「由来」と検索すると、

Wikipedia等で城跡や歴史の詳細が出てくるため、

興味のある方はそちらを参照されたい。

ホームからは岩木山が眺められる、

津軽鉄道でも隠れた絶景駅であるが、

駅舎は実に津軽鉄道らしく、

昭和感満載のレトロな風格だ。

ということで視察を始めよう。

アクセスは良いか?(主に国道・県道から、道幅は広いか?)

駅前道路はこれでも一応県道279号にあたるが、

幅員は片側1車線程度であり、

やや狭い印象。

県道279号と県道26号(マップ上では津軽あすなろライン)の分岐点が、

唯一の目印であるが、

案内標識が一つもないため、

初見では若干迷うだろう。

パークアンドライドは整っているか?

駅前に駐車場などは整備されていないため、

パークアンドライドはほぼ不可能と言ってよい。

案内標識もないため、

駅利用者は限定されていそうだ。

駐輪場も設置されていなかった。

参考までに津軽飯詰駅の1日平均乗降人員は、

2019年度で僅か24人しかいないため、

駅の周辺人口も少ないものと思われる。

駅舎・待合室は綺麗か?(築年数ではなく、手入れがきちんとされているか?)

青い屋根とピンク色の外観が特徴的な、

いかにも「ザ・昭和」な駅舎。

全国的に老朽化による駅舎改築が加速しているため、

青森エリアにおいても貴重な建物である。

尚、直近で駅舎が改築されたのは1957年(昭和32年)。

間もなく築70年が経過しようとしている「ベテラン駅舎」だ。

木製の窓枠や青いトタンの三角屋根からしても、

まるで民家のような佇まい。

前回視察した津軽五所川原駅と比べても、

また一味違った風格だ。

壁には津軽鉄道利用促進のための看板が掛けられている。

よく北海道の廃線になった路線の駅で見かけるものと似たような感じだ。

下に記載されている自治体名は、

五所川原市、金木町、中里町、市浦村、小泊村と、

平成の大合併前のものであるが、

そもそも津軽鉄道は旧市浦村と旧小泊村には一切通っていない。

なぜ記載されているのかは不明だが、

恐らくは同じ津軽半島の自治体として、

終点である津軽中里駅からの観光客訪問も見据えて、

津軽鉄道の利用促進を呼びかけていたのと思われる。

北国の駅舎らしく、

風除室が広めに設計されているが、

さすが津軽鉄道。

案内標識から扉まで、

駅舎に入った途端から時が止まったような空間ではないかw

それとは裏腹に、

利用者数が少ない割に自動販売機が設置されていたのは好印象。

吊り下げ式の照明から看板まで、

駅舎内も実に昭和を漂わせるようなデザイン。

1枚目をよく見ると、

椅子の隣に謎の洗面台が設置されている。

どういう意図でこの位置に洗面台を置いたのかは不明だが、

JRの駅ではまず見かけないパターンであろう。

また、駅舎内には図書スペースが整備されているなど、

地元住民や観光客に対し列車の待ち時間を退屈にさせないよう、

色々と創意工夫を凝らしている点は好印象である。

椅子の上にはお手製の座布団も置かれており、

地域住民によるおもてなし精神を感じる。

それに加え2021年には、

駅の事務室と宿直室を改装して、

「レイルウェイ・ライター種村直樹 汽車旅文庫」たるものが開設された。

ここには、作家である種村直樹の蔵書3200冊、

個人事務所の看板や机などがあり、

毎月第3日曜の午前9時半から午後3時に限り開館される。

因みに種村直樹の出身は滋賀県大津市であり、

青森県との直接的な関りはないものの、

東北新幹線や青函トンネルの開業、

日本国有鉄道の終焉とJRの発足や、

瀬戸大橋・青函トンネルの建設といった、

時代の節目となった出来事のルポを多数執筆しており、

鉄道に精通している有数のフリーライターであったという。

2004年に無人駅となり、

窓口や改札の跡が現在も残存している。

尚、左下にあるダイヤル式の電話は、

津軽鉄道の無人駅にすべて設置されており、

列車の遅延などが発生した際、

実際にベルが鳴り情報を知らせてくれるという。

これぞ昭和スタイルの真骨頂w

今まで私が津軽鉄道を利用した中では、

列車遅延の境遇に置かれたことはないが、

実際に遅延が発生した際、

どのように稼働するのか実に興味深いものである。

続いてホームの様子がこちら。

架線や周辺に建物が無いため、

実にサッパリとした景色。

ぱっと見は島式ホーム1面2線の構造であるが、

1番線の使用が停止されているため、

事実上は1面1線の棒線駅。

現在は元の2番線のみ稼働している。

電信柱には小さい木彫りの駅名標が設置されていた。




トイレは整備されているか?(ある駅は綺麗か、暖房便座か、石鹸はあるか)

利用者数及び駅舎の規模からしてトイレがあるか微妙な雰囲気だが、

津軽飯詰駅は期待を裏切らなかった。

「手洗所」と書かれたレトロな看板の先に、

これまただだっ広い洋式トイレが設置されている。

まるでバリアフリートイレ並の規模ではないかw

石鹸は置かれていなかったが、

暖房便座や洗面台があり、

トイレ事情は意外にもしっかりとした造り。

バリアフリーが保たれているか?(ホームまでの段差の有無)

ホームと駅舎は構内踏切で接続されているため、

自然とバリアフリーな設計となっているが、

遮断機や警報装置は一切ないため、

横断の際は注意が必要だ。

裏口は整備されているか?(裏口が地理的理由上必要ないと判断した駅は自動的に3点加算)

裏側はご覧のように田園地帯となっており、

民家がきれいさっぱり一軒も存在しないことから、

裏口の必要性は薄いであろう。

尚、駅北方には遮断機が無い農道の踏切がある。

総括

項目 点数 備考
アクセスは良いか? 3 駅前道路は片側1車線程度ある県道だが案内標識は無く、初見では分かりづらい
★▲パークアンドライドは整っているか? 0 駐車場どころか駐輪場も存在しない
駅舎・待合室は綺麗か? 4 駅舎は古いながらも清掃は行き届いていた
★▲トイレは整備されているか? 4 暖房便座、洗面台付のトイレあり
バリアフリーが保たれているか? 4 構内踏切のため段差はない
★裏口は整備されているか? 3 裏側は田園地帯であり、必要性は薄い
■おもてなしがされているか? 1 椅子に座布団が置かれている
合計 19 駅舎内には図書スペースが設けられており、おもてなし精神が強く働いている駅だと感じた
項目別評価基準の詳細(点数の付与方法)はこちら:【やや重要】シリーズ「各駅評論」における評価基準の補足
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※2024年3月24日視察

※全駅視察終了後に評価を調整する可能性あり。

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