青森県内の駅を色々な角度から評価し、
使いやすさを浮き彫りにしていくシリーズ企画、
題して「各駅評論」。
31回目は五所川原市にある、
津軽鉄道津軽五所川原駅を視察。
当駅は五所川原市の中心駅、
また、津軽鉄道において最も利用者数が多い駅(コロナ前の2019年度の1日平均乗車人員は312人)。
JR五所川原駅と隣接しているが、
建物は完全に分離されており、
窓口や改札口に関してもJRと異なる仕様。
しかし、跨線橋に限って言えば、
ここだけJRと共用になっているという、
大衆浴場のような何とも珍しい設計の駅である。
駅舎もこれまた面白い構造をしているため、
何回訪れても飽きないだろう。
アクセスは良いか?(主に国道・県道から、道幅は広いか?)
駅前道路は県道252号に該当。
片側1車線が確保されており、
センターラインもしっかり引かれている。
さすが五所川原市の玄関口だけあり、
歩道に関しても幅員が広く設計されているのが分かる。
視察当日は立佞武多の館へ行く観光客が、
若干多く見受けられた。
尚、案内標識はJR五所川原駅と隣接している関係により、
便宜上「五所川原駅」と明記されているが、
津軽五所川原駅のほうへのアクセスには何ら支障はない。
パークアンドライドは整っているか?
駐車場に関しては、
JR五所川原駅の正面口及び、
津軽五所川原駅の隣に2か所整備されている。
ただし、前者は駐車台数が限られており、
停められるタイミングは僅かと思われる。
後者は広大な駐車場が整備されており、
ざっと見積もって20台は停められるキャパがある。
尚、こちらは月極駐車場であるため、
一般車は進入不可となっている点に注意。
駅舎・待合室は綺麗か?(築年数ではなく、手入れがきちんとされているか?)
ストーブ列車でお馴染みの津軽鉄道。
その始発駅である津軽五所川原駅は、
観光パンフレットにもよく掲載される。
それもそのはず、
画像からお察しのように、
これまた昭和レトロな佇まいが特徴の駅舎だ。
外壁は所々剥がれかかっているが、
それはそれでいい味を出している。
風除室はやや広い設計。
無論、こちらも昭和要素ただならぬ雰囲気だが、
それに相反して現代の自動販売機が設置されているのも、
津軽五所川原駅ならではの光景だ。
お待ちかね駅舎内の様子がこちらだ。
黒ずんだ壁・天井や吊り下げ式の照明、
往年にわたって使用されているであろう石油ストーブ、
役所かと思わせるほど張り紙・掲示物が多い窓口等々・・・
もはや一言では表し切れないほど、
面白い要素満載である(後述のホームも含め)。
尚、当駅は有人駅であるため、
建物は古くとも清掃はしっかりされていた。
一方、2024年11月25日現在、
Wikipediaでは「自動券売機が設置されている」との記載があるが、
視察ではそのようなものは一切確認できなかった。
以前は稼働していたのだろうか?
壁にもこれまた昭和レトロな掲示物が多数。
1枚目は電光掲示板仕様の発車時刻表。
令和の時代に縦書き漢数字の時刻表をお目にできるとはw
2枚目は手書きの時刻表。
「0」「6」「8」あたりのフォント、
まるで小学校の算数の授業で登場する、
「なぞり書き」のような雰囲気を漂わせている。
ついでに、上部には外国人観光客のために、
英語表記もなされているのは好印象。
3枚目は、よく昭和時代のターミナル駅にあった「伝言板」。
津軽五所川原駅では令和の今でもお目にかかれる。
が、視察当日は何も記入がなかったため、
現在も利用者向けに稼働させているかどうかは不明。
続いてこちらも昭和レトロ満載な改札口。
錆びついた改札の”フネ”が時台を感じさせる。
主に団体客用のためか、
駅舎内を経由しなくても、
フリーアクセスが可能な設計となっていた。
3枚目は黒塗りの駅銘版。
英語表記があるにもかかわらず、
「軽」の字が旧字体である「輕」と書かれている側面から、
まるで太宰治の書籍を彷彿させる。
跨線橋は途中までJRと共用。
写真では奥が津軽鉄道専用となっている。
尚、改札中以外の時間帯はロープのようなもので仕切られ、
立ち入るには窓口で入場券を購入しなければならない。
津軽鉄道のほうの跨線橋は、
外観は古いが思った以上にしっかりとした造り。
跨線橋の天井に「D」や「E」の看板が吊り下げられているが、
これは団体客と個人客の待機場所を分けるための案内である。
突き当りには津軽鉄道オリジナルの番線案内標識が。
よく見るとJR仕様に似せたようなデザインになっているのが面白い。
また、観光客用のためにコインロッカーが置かれているのも珍しい光景だ。
跨線橋階段は津軽鉄道にしては立派。
というのも、以前までは老朽化が進行していたが、
改修費を捻出するために何とクラウドファンディングを実施。
無事、予定金額に到達したため改修が可能となった次第である。
続いてホーム。
上屋も長く割と立派な造りだ。
基本的に列車は3番線のみを使用しており、
4番線は事実上機能が停止している(いわば棒線駅)。
自動販売機が置かれている点では、
若干のターミナル駅感がある。
先端部分は上屋+架線が無いため、
実に開放的。
一方で使用停止中の4番線側のホームの一部が崩れかけており、
長期間放置されている模様。
まぁ、これはこれでご愛嬌である。
待合室は比較的大きく立派な造りだ。
椅子は計9脚設置されており、
そのうえにお手製の座布団が置かれているのも、
おもてなしの精神が働いている。
また、待合室裏には花壇と思われる設備も。
視察当日は3月であったが故に更地であったが、
春から秋にかけては花が植えられるのだろう。
トイレは整備されているか?(ある駅は綺麗か、暖房便座か、石鹸はあるか)
青森県内の駅では珍しく、
駅舎内ではなく”ホーム上に”トイレが設置されている。
余談だが昔、
青森駅にもホーム上にトイレが設置されていた時代があった。
トイレに関してはすべて和式だが、
大小用が揃っている。
しかも、数が妙に多い(一部は使用禁止だが)。
トイレットペーパーや洗面台は用意されていないため、
その点は注意が必要だ。
バリアフリーが保たれているか?(ホームまでの段差の有無)
エレベーターはないため、
基本的には階段を上る必要がある。
ただし、先述のクラウドファンディングにより、
階段の修繕工事と同じタイミングで、
電動式昇降機が導入された。
外見は車いすに似ており、
津軽鉄道の職員に利用の旨伝えれば用意してくれるはずだ。
裏口は整備されているか?(裏口が地理的理由上必要ないと判断した駅は自動的に3点加算)
JR五所川原駅含め津軽五所川原駅には、
裏口は整備されていない。
5万都市の玄関口であり、
駅裏側は住宅街などで埋め尽くされているが、
正面口しか存在しないため、
駅南方の道路を渡って迂回しないといけない。
従って、JR五所川原駅とセットで、
裏口を整備すればより一層利便性が向上するだろう。
おまけ①
津軽鉄道の拠点駅であるため、
ホームの横に機関区が置かれている。
現役の旅客列車のほか、
貨車や以前まで使用されていたお古の客車も散見される。
まるで昭和時代にタイムスリップしたかのような雰囲気に包まれるだろう。
おまけ②
駅舎横に堂々と立つこの建物は、
何と現役である津軽鉄道の本社。
駅舎と併せまさに「キング・オブ・昭和レトロ」であるw
尚、本社1階には喫茶店が入居しており、
列車の待ち時間に一息つくことができるのもありがたい。
昼間はランチの提供もある。
総括
項目 | 点数 | 備考 |
アクセスは良いか? | 4 | 駅前道路らしく片側1車線が確保されており、アクセスも容易 |
★▲パークアンドライドは整っているか? | 5 | 月極であるが、20台以上は停められる駐車場がある |
駅舎・待合室は綺麗か? | 4 | 清掃は行き届いていた |
★▲トイレは整備されているか? | 3 | 和式であり洗面台はないが、ホーム上にトイレがある |
バリアフリーが保たれているか? | 4 | クラウドファンディングにより車いすタイプの電動式昇降機が導入された |
★裏口は整備されているか? | 2 | 駅裏は住宅街であるが裏口は無し |
■おもてなしがされているか? | 2 | 待合室ベンチに座布団、ホーム上に花壇が整備されている |
合計 | 24 | 全体的に設備は古いが、利用客への配慮やおもてなしの精神が強く働いている点は高評価 |
※2024年3月24日視察
※全駅視察終了後に評価を調整する可能性あり。
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