青い森鉄道の新たな舵取り役が誕生。
6月24日、毎年恒例のアスパムで株主総会及び取締役会が開かれた。
それによると、
元社長である千葉耕悦氏(68)から、
新たに新社長として東直樹氏(62)が選任され、
青い森鉄道の舵取りを任された。
社長の交代は2016年以来実に8年ぶりとなる。
尚、千葉耕悦氏は任期満了により退任後、
「取締役相談役」となった。
この長ったらしい言葉である取締役相談役とは、
取締役(社長)が行う会社の経営判断について、
アドバイスや助言を行う役割を持っている。
東直樹氏は青森市出身で早稲田大学卒。
青森県庁の企画政策部長などを務め、
当時は航空行政(インバウンド対策)に長く携わった。
2003年には大韓航空から訪日旅行強化について提案を受け、
青森~ソウル線の増便に取り組んだとのこと。
因みに東直樹氏の青い森鉄道社長就任により、
これで6代連続青森県OBからとなる(通称、天下り)。
まあ、「また天下りか」と思う人も多いだろうが、
これまでの青い森鉄道と青森県との”いい意味”での癒着により、
ダイナミックな政策で利用者増加に取り組んできた実績を鑑みれば、
個人的には期待できる。
航空行政で長年にわたり培ってきたノウハウを、
鉄道経営にどのように生かすのか注目したい。
さて、東直樹氏は東奥日報の取材で、
主に以下の5点を強調している。
- プロパー社員の育成
- 沿線地域イベントをPRする旅行商品づくり
- 四季折々の車窓や青森県産食材を楽しむ特別列車運行
- 鉄道ファン向けの新企画
- 増便、新型車両の導入
①については、
年々JR東日本からの出向社員が減少していく中で、
5年後をめどにプロパー社員(新卒)が独り立ちできるよう取り組むようだ。
②や③については、
これまでにおいても毎年恒例、
自社の車両を1両貸切にした、
星野リゾート 青森屋「酒のあで雪見列車」を運行しており、
観光客利用増に一役買っている。
今後は上記以外の観光列車も運行していく試みのようだ。
そして鉄道ファン注目であろう④と⑤について。
④では昨年より突如として始まったマニア向けの団体専用列車、
その名も「青鉄全線完全走破号」が、
今年も7月20日と21日に運行。
やはりダイヤ及び運行ルートが”超”が付くほど特殊なだけあり、
昨年は大好評であった。
今後も、上記のようなマニア向けの企画を増やすようだ。
一方、⑤については沿線住民や利用者にとっても朗報である。
まず増便についてだが、
直近5年間の青い森鉄道では、
特に青森市内区間における夕方の学生の帰宅時間帯及び夜間帯において、
集中的に増発を試みた。
ただ、8時台や昼間など、
まだまだ本数は少ないのが現状。
とは言え、現状の青い森鉄道の保有車両の数からしても、
これ以上の増発は難しいものと思われる。
以前、1編成が自動車との衝突事故により、
長期間にわたり修理を要するため、
何と朝のラッシュ時1往復が運休となっていたほど。
いかに保有台数が枯渇しているがが眼に見えている。
そこで東直樹氏によると、
今後は新型車両の導入にも踏み切る意向を示しているようだ。
まあ、さすがに令和の時代に、
走るんです(701系)の中古車両は入れることはなかろうが、
前例に則って青い森703系の追加導入を推進していくものと思われる。
既存の保有台数が11編成のため、
仮に2編成だけでも導入し計13編成にすれば、
少なくとも先述の長期間運休は避けることが可能と思われる。
と、このようにインバウンドも回復してきている一方、
学生人口の減少、
ICカード導入など課題は山積みであるが、
航空行政に長年携わってきた東直樹氏は、
今後の青い森鉄道をどう活かすのだろうか。
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