【各駅評論#30】奥羽本線津軽湯の沢駅写真集 廃止崖っぷちだが構造が面白い駅

交通研究

青森県内の駅を色々な角度から評価し、

使いやすさを浮き彫りにしていくシリーズ企画、

題して「各駅評論」。

30回目は平川市にある、

奥羽本線津軽湯の沢駅を視察。

津軽湯の沢駅と言えば、

2018年より冬季はすべての列車が通過する駅として有名になり、

一部列車に至っては通年において停まらない。

停車本数は津軽線などより少ない16本(8往復)である。

従って、巷では「廃止になるのでは?」

という憶測が飛び交っているほど、

現在崖っぷちの駅でもあるのだ。

しかも、当駅最寄りのバス停であった、

弘南バス「岩渕公園前」バス停が、

2024年のダイヤ改正で廃止となり、

その代わりに平川市のコミュニティバスが走ることになったものの、

週に3日しか運行されないため、

一気に訪問の難易度が上昇。

青森エリアの奥羽本線の駅では、

断トツの秘境駅感を漂わせている。

ということで、そんな崖っぷちの津軽湯の沢駅を、

BANされない今のうちに視察していこう。

アクセスは良いか?(主に国道・県道から、道幅は広いか?)

秘境駅と言われていながらも、

大動脈である国道7号からは比較的目と鼻の先にあるため、

近くまで行くと車が行きかう音は意外と聞こえる。

無論、国道7号からのアクセスもよく、

ご覧のように案内標識も設置されているため、

初見でも迷うことはまずないだろう。

地元では「湯ノ沢駅」で通ずるのか、

駅名に「津軽」を冠していない。

駅前道路はこんな感じ。

途中一瞬狭くなるものの、

全体的に見れば普通車同士であれば、

離合は比較的スムーズに可能な設計になっている。

パークアンドライドは整っているか?

駅前に半分砂利と化した駐車スペースが確保されており、

最低でも4~5台は停められる。

とは言え、駅周辺に住宅は少ないため、

果たしてパークアンドライドを利用している住民はいるのか疑問である。

どちらかと言えば鉄道マニアによる訪問のほうが多い気がするがw

駅舎・待合室は綺麗か?(築年数ではなく、手入れがきちんとされているか?)

こちらが津軽湯の沢駅の駅舎。

秘境駅のイメージがあるため規模は小振りかと思いきや、

意外にも駅舎はやや大きい。

銘板に印字されてある文字も徐々に薄れてきており、

より一層の秘境駅感を漂わせている。

手前にはコンパネの板で何かを隠しているが、

果たしてここには何があったのだろうか・・・

真相は後程解明する。

駅舎内は思いのほか広く、

長いベンチが設置されている。

山あいに位置するため虫が多そうなイメージだが、

視察当日はそこまでではなかった。

むしろ駅舎内は清掃が行き届いて、

比較的清潔であったほど。

電光掲示板の両隣にある案内看板、

なかなか味のあるフォントであるw

駅舎とホームを結ぶ通路には、

しっかりと上屋が設置されており、

雨をしのげる設計になっているのは好印象。

津軽湯の沢駅はこれまた面白い構造。

地上駅にカテゴライズされるが、

盛土上にあるため、

ホームへは階段を上る必要がある。

こちらは1番線。

1番線ホームの待合室がこちら。

ひじ掛け付きのベンチが5基設置されており、

こちらも清掃は行き届いていた。

地味に入口が2か所あるのも面白い。

やはり利用者数が少ないためか、

黄色い点字ブックは敷かれておらず、

白色の破線が申し訳程度に引かれている。

ホームの先端部分に至っては、

目印となる線すら目視で確認できないほど。

2番線へは奥の地下通路(厳密には盛土の下)を通り、

階段を上った先にホームが存在する。

お察しの通り利用者が少ないうえ、

駅周辺は基本的に山と小規模の集落で構成されているため、

非常に静寂である。

青い森鉄道の目時駅と似た構造だ。

2番線ホームの待合室も、

1番線とほとんど同じ造り。

こちらも清掃が行き届いていて比較的清潔であった。

2番線ホームに関しても黄色い点字ブロックどころか、

白線すらまともに引かれていないほど。

いかに利用者数が少ないかが浮き彫りである。

複線電化されていながら、

やや荒廃としたホームに、

走るんです(電車)が滑り込んでくる光景は、

ある意味異様かもしれない。




トイレは整備されているか?(ある駅は綺麗か、暖房便座か、石鹸はあるか)

駅舎の規模を見るとトイレは設置されているはず・・・!

と、言いたいところだが、

残念ながらトイレは現在コンパネの板で塞がれ、

幽閉(閉鎖)されている。

まぁ、幽閉と言っても以前訪問した、

青い森鉄道の小川原駅と比べれば、

まだこちらのほうがホラー感は薄いかw

バリアフリーが保たれているか?(ホームまでの段差の有無)

構造上、いずれのホームへは階段を上る必要があるため、

バリアフリーには対応していない。

裏口は整備されているか?(裏口が地理的理由上必要ないと判断した駅は自動的に3点加算)

衛星写真を見ても一目瞭然。

言わずもがな、駅裏は森林地帯であるため、

裏口の必要性がない。

おまけ

1番線ホームからは、

かつての奥羽本線の旧線跡を見ることができる。

今でこそ高速化により直線的な線形となっているが、

昔は峠越え区間であったが故、

カーブが連続していた。

一方、津軽湯の沢駅のWikipediaを見ると、

駅の開業は1949年(昭和24年)と記載されている。

が、後日とある個人ブログを閲覧したところ、

実際のところはその7年前、

つまり1942年(昭和17年)に、

当初は矢立(やたて)信号場として開業したという。

駅への昇格はWikipediaに記載されている、

1949年(昭和24年)ということになる。

先述の通り、

2018年(平成30年)より冬季間は全列車が通過し、

廃駅のリスクが急上昇したワケであるが、

もし仮に廃駅となった場合は、

完全なる廃止ではなく、

開業当初のような信号場へ降格させられるのではと予想する。

総括

項目 点数 備考
アクセスは良いか? 3 国道7号から一本でアクセス可能だが、途中道幅が細い箇所が存在
★▲パークアンドライドは整っているか? 3 4~5台ほどの駐車スペースがある
駅舎・待合室は綺麗か? 4 清掃は行き届いていた
★▲トイレは整備されているか? 0 現在、トイレは閉鎖されている
バリアフリーが保たれているか? 2 いずれのホームへも階段を上らなければならない
★裏口は整備されているか? 3 裏口の必要性はゼロに等しい
■おもてなしがされているか? 0 ホームや待合室に花壇や座布団は無かった
合計 15 地元住民の利用はごく僅かだと思われるが、駅舎内や待合室は清掃が行き届いているのは好印象
項目別評価基準の詳細(点数の付与方法)はこちら:【やや重要】シリーズ「各駅評論」における評価基準の補足
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※2023年11月15日視察

※全駅視察終了後に評価を調整する可能性あり。

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