2019年10月4日朝刊の東奥日報で、
このような記事が出てきた。
「青森市営バス過密ダイヤ 運転士悲鳴」
記事によると、
「3月の改正後、市営バスのダイヤが過密で重圧とストレスを感じている」
と、ある運転士からの声が寄せられたという。
さらに調査を進めていくと、
ほかの運転士からも「路線によって遅れが常態化している」
とのコメントが相次いだという。
また、
「安全運行が第一だが、このような状態だと安全が揺らぎかねない」
「利用者が多い路線では定時運行が極めて難しい」
との声も上がっている。
では、これに対し市交通部のほうではどのような回答をしたのだろうか?
記事によると、
「過密ダイヤとは言えない」
とはっきりコメントした一方、
「遅れが出ているなら次のダイヤ改正で直したい」
と意見を反映をするようなコメントもあったそうだ。
悲鳴が上がったきっかけは運行時間の短縮
そもそも運転士からの不満が積もった理由は何か?
それは、ダイヤ改正による運行時間の短縮である。
2019年のダイヤ改正を契機に、
青森市営バスでは新たに「夏ダイヤ」を設定した。
というのも、
青森市はご存知の通り、
世界で最も年間降雪量が多い都市であるが故に、
冬場になると市営バスの利用者が毎年大幅に増えることから、
通年ダイヤのままにしておくと、
冬場における利用客を全てカバー出来なくなるためである。
従って、今回から春夏秋にかけての夏ダイヤと、
利用者が増える冬季間の冬ダイヤに分割したというのだ。
そして、この夏ダイヤを採用したことで、
一部路線において所要時間が最大16分も短縮されているのである。
ダイヤ改正においては、
特にバス専用レーンを新たに設けて定時性の向上を図った訳でもなければ、
ICカードを導入して精算をスムーズにした訳でもない。
ただ単純にスピードを速くしたり、
乗降時間を短くしたりするなど、
ゴリ押しして所要時間を短縮したと見られている。
では、具体的にどの路線がどれだけ所要時間を短縮したのだろうか?
東奥日報による調査のところ、
所要時間が大幅に短縮された主な路線は以下のとおりである。
18年 | 19年夏ダイヤ | |||||
横内環状線(右回り) | ||||||
青森駅発 | 所要時間 | 幸畑団地着 | 短縮時間 | 青森駅発 | 所要時間 | 幸畑団地着 |
7:30 | 40分 | 8:10 | 最大9分 | 6:50 | 31分 | 7:21 |
10:35 | 40分 | 11:15 | 9:50 | 33分 | 10:23 | |
13:35 | 40分 | 14:15 | 12:50 | 33分 | 13:23 | |
16:30 | 40分 | 17:10 | 15:50 | 33分 | 16:23 | |
19:05 | 35分 | 19:40 | 18:50 | 33分 | 19:23 |
※平日の運行時間が近いダイヤを抽出。
横内環状線というのは、
青森駅〜筒井〜幸畑団地〜観光通り〜青森駅を一周して走る路線であり、
筒井方面へ先に行く右回りと、
観光通り方面へ先に行く左回りの2系統がある(実際には東部営業所から幸畑団地を経由して青森駅へ至る右回りルートがもう1つあるので正式には3系統となる)。
横内環状線は昔から利用者が多い路線であり、
沿線にはショッピングモールや大学2つ、
住宅街が密集していることもあり、
市営バスでも有数のドル箱路線となっている。
それ故乗降に時間がかかったり、
道路の混雑が顕著に目立つ。
酷い時は10分遅れることもしばしばあり、
冬場は寒い中いつ来るか分からないバスを待ち続けなければならないのがちょっと苦痛である。
では、この慢性的な遅延に対して運転手はどう思っているのか?
東奥日報のインタビューによると、
「数十回のうち定刻通り走れたのは2、3回しかない」
・・・とのことだそうだ。
遅延が2、3回ではない。
定刻通り走れたのが10回中2、3回しかないのである。
横内環状線の遅延は、
思った以上に深刻であることが分かるだろう。
18年 | 19年夏ダイヤ | |||||
浅虫線(急行) | ||||||
浅虫温泉発 | 所要時間 | 新青森駅東口着 | 短縮時間 | 浅虫温泉発 | 所要時間 | 新青森駅東口着 |
9:50 | 68分 | 10:58 | 最大16分 | 9:50 | 52分 | 10:42 |
12:50 | 68分 | 13:58 | 12:50 | 52分 | 13:47 |
※平日の運行時間が近いダイヤを抽出
次に浅虫線(急行)である。
浅虫線(急行)は浅虫温泉と新青森駅東口を結ぶ長い系統であり、
所要時間は約1時間と市営バスの中でもロングランである。
浅虫線には急行以外の普通便もあるが、
こちらは新青森駅ではなく青森駅に乗り入れるルートとなっている。
浅虫線の急行は途中、
国道中心に一部停留所をすっ飛ばすダイヤとなっているが、
何とこちらは冬ダイヤで最大16分も短縮するというのだ。
勿論、同じルートである。
いくら急行とは言え、
果たしてどのような技を駆使してダイヤを短縮しているのだろうか?
空いてる車線にはとにかく積極的に入って、
それで短縮しているのか?
ますます気になるところである。
市交通部は反論しているものの・・・?
一方、運転手の意見に対して、
青森市交通部はどうコメントを返しているのか?
東奥日報によると、
市交通部管理課の今国弘課長は、
「労働組合側と労働協約のチェックをして協議しながらダイヤを組んでおり、過密とは言えない。ただ結果として遅れが出ているなら次のダイヤ改正で直したい」
とコメントした。
色々協議しながらダイヤを組んでいながら、
それでも運転手からの不満が噴出しているということは、
あまりうまく連携が取れていないようである。
一方、所要時間が大幅に短縮された夏ダイヤの導入は今回が初である。
道路混雑は予測が難しいこともあり、
実際に走ってみないとどのぐらい時間がかかるのかなど分からない点も多い。
なので、今回はあくまでも実験的な要素が強く、
次回以降それから得られた結果をもとに、
何とかうまくダイヤ調整をするのだと思われる。
今後の青森市営バスの定時性に期待しよう。
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