青森県内の駅を色々な角度から評価し、
使いやすさを浮き彫りにしていくシリーズ企画、
題して「各駅評論」。
今年最後の出稿となる22回目は、
青森市にある油川駅を視察。
津軽線の中でも青森駅に次いで利用者が多く、
特に朝の通勤通学時間帯は、
青森~油川間まで最寄りの青森北高校の学生で混雑するほど。
そのため、当駅を境に乗客が一気にいなくなるという、
何ともミステリアスな光景を目にすることができる。
利用者数がそれなりに多い割には本数が1日18本(平日・土曜)しかないが、
駅舎の設備としては良いほうである。
では、油川駅を視察していこう。
◆アクセスは良いか?(主に国道・県道から、道幅は広いか?)
油川駅へは国道280号からアクセスすることになる。
センターラインこそ薄くなりほとんど見えない状態だが、
片側1車線は余裕で確保されている。
案内標識も見えやすいところに設置されているため、
所見でも割とたどり着きやすいと思われる。
駅前道路はご覧の通り。
画像の通りバスが乗り入れるほどであるため、
こちらも国道の車幅と大きな差はなく、
すれ違いも余裕で可能なスタイルだ。
住宅街のど真ん中にある駅前道路だが、
まるでどこかの矢○○駅とは打って変わって、
道幅にはうんと余裕がある()
◆パークアンドライドは整っているか?
油川駅には無料駐車場はない代わりに、
月極駐車場が用意されている。
そのため、あらかじめ契約しておけば確実に駐車できるという保証がある。
駐車できるスペースは10台以上あり、
キャパシティー的には問題ないかと思われる。
駐車場自体の広さもそれなりにあるため、
停めやすいのも嬉しいところ。
◆駅舎・待合室は綺麗か?(築年数ではなく、手入れがきちんとされているか?)
油川駅は比較的最近である2017年に駅舎が改築されたため、
まだまだ全体的に新鮮さが残っている。
実際に駅舎の中に入ってみれば分かるが、
未だに木材のいい匂いがする。
新駅舎建設にあたっては、
かつて地元にあったイワシの缶詰工場をモチーフとするため、
駅舎上部にはアルミルーバーを使用してイワシを表現している。
下部にはレンガが敷き詰められており、
西洋館風のデザインも取り入れた。
最近改築されたため駅舎内は清潔であり、
勿論、ゴミなどは一切落ちていなかった。
支柱や屋根にはふんだんに木材(恐らくヒノキ)が使用されており、
どこかあずましい雰囲気を漂わせている。
中央には支柱を中心に丸いベンチも用意されており、
まるで市民の交流スペースのよう。
照明も至る所に設置されており、
全体的に明るいのは高評価だ。
ホームへの入口には何やら2つの箱が設置されていた。
1つは無人駅でよく見かける、
「乗車済切符」を入れる「緑色の箱」。
しかし油川駅にはもう一つ、
「運賃」を入れるための「赤色の箱」も設置されていた。
「緑色の箱」は無人駅で高頻度の確率で置かれているが、
「赤色の箱」はこれまで出くわしたことが無い。
事実、油川駅は2023年に自動券売機や窓口が完全にBANされ、
無人駅と化してしまった。
「赤色の箱」はそれ以降設置されたため、
無人化の補填のような形で新設されたのだと思われる。
青森駅や蟹田駅は有人駅であるため、
乗車駅で切符を購入すればそれでよいのだが、
他の駅はすべて無人駅であり自動券売機もないため、
現金で支払う形となる。
とは言え、津軽線のすべての列車はワンマン運転であり、
車内の運賃箱で清算し下車する流れになるため、
果たしてこの「赤色の箱」はどのような意図で設置されたのだろうか・・・?
ホームは1面1線の棒線駅であるが、
利用者数が多いため幅が広めに設計されている。
無論、上記の理由で点字ブロックも端から端まで敷かれている。
かつては列車交換が可能であったがゆえ、
ホーム向いには妙な空きスペースが存在している(棒線駅化した年は不詳)。
ホーム上には待合室の他に、
雨風を軽くしのげる程度の上屋もちょこんとだけ設置されている。
しかし、問題なのが待合室のほう。
見るからに不気味なほど殺風景な待合室、
どこか違和感を感じないだろうか・・・
そう、無人駅でも多くあるポスターや掲示板、
発車時刻表などが一切飾られていないのだ。
そして、待合室に入ろうとしたのだが、
何と、ドアが施錠されていて一切入ることができなかったのであるw
これでは視察が出来ないではないか()
とりわけ、人の出入りがないため清掃が行き届いており、
長いベンチと複数の椅子もあるため収容人数はそれなりにある。
まるで、待合室がボイコットして入れないようにしているかのよう()
いつから待合室を施錠しっぱなしなのかは不明だが、
もしかすると一部の利用者のマナーに問題があったがゆえ閉鎖しているのだろうか・・・?
青森方には保守用車が出入りする「横取線(よことりせん)」が引かれている。
隣の青森駅までは6キロと長い距離であるため、
このような設備が設けられているのだと思われる。
待合室の手前には、
かつて使用されていたであろう板張りスロープが残存していた。
恐らくは旧駅舎時代の時に稼働していたものと思われるが、
朽ち果てており自然に還るのも時間の問題だ。
油川駅のホームには花壇が複数設置されており、
おもてなし精神が働いている。
因みにホームの花壇は、
油川駅近隣にある「まちだ内科クリニック」の院長から寄贈されたものらしく、
水やりは「油川駅応援実行委員会」という団体がボランティアで行っているという。
こうした背景からも、
油川駅は地域住民にとって大切なものであることを再認識させられる。
◆トイレは整備されているか?(ある駅は綺麗か、暖房便座か、石鹸はあるか)
2017年に無人駅と化した油川駅。
よく無人駅化と同時にトイレが閉鎖されるというのがお決まりのパターンであるが、
この油川駅は否。
今でもトイレは現役バリバリで稼働しているのだ。
最近改築されたため、
トイレのほうも設備は新しく使い勝手も良い。
小便器のほうは自動で水が流れるハイテクタイプ、
洗面台も石鹸はなかったがセンサー式で水が流れる仕様である。
大便器に関しては今どきの蓋がないコンパクトなタイプであり、
水を流すときは上部にあるボタンを押す仕様となっている。
無人駅となったが、
有人駅時代とほぼ変わらない設備を今でも維持しているのは高評価だ。
天井も高く実に解放感あるトイレであり、
照明も充実しているため全体的に明るいのも評価できる。
因みにトイレ清掃は近隣にある青森北高校の生徒が、
駅舎内の清掃は青森県立青森第一高等養護学校の生徒がそれぞれ行っているという。
やはり学生の利用が多い油川駅であるため、
そういったボランティア活動も活発に行われているのは、
地域住民としても助かっているだろう。
◆バリアフリーが保たれているか?(ホームまでの段差の有無)
駅舎とホームを行き来する際は階段を利用することになるが、
段数もそこまで多いわけではないうえ、
段差も比較的小さいため高齢者でもまだ上り下りしやすいほうであろう。
地味ではあるが黒い滑り止めが敷かれている点も、
利用者に優しい設計だ。
◆裏口は整備されているか?(裏口が地理的理由上必要ないと判断した駅は自動的に3点加算)
裏口は無し。
隣の青森駅から6キロ離れているが、
依然として油川地区の住宅街のど真ん中に位置しているため、
裏口もあったほうが利便性が向上されるかと思われる。
◆総括
項目 | 点数 | 備考 |
アクセスは良いか? | 4 | 国道から1本でアクセス可能、駅前道路も広い |
★▲パークアンドライドは整っているか? | 4 | 無料駐車場はないが月極であるため契約すれば駐車の保証は確実 |
駅舎・待合室は綺麗か? | 4 | 清掃が行き届いていた(学生によるボランティア活動) |
★▲トイレは整備されているか? | 4 | 石鹸はないが小便器と洗面台はセンサー式のハイテク仕様 |
バリアフリーが保たれているか? | 3 | 段数や段差も少ないため高齢者でも利用しやすいと思われる |
★裏口は整備されているか? | 2 | 周辺は住宅街であるが裏口は無し |
■おもてなしがされているか? | 1 | ホームに花壇あり(まちだクリニックからの寄贈) |
合計 | 22 | 全体的に明るい清潔な駅舎であり、地域住民から非常に大切にされていると感じた |
※2023年5月25日視察
※全駅視察終了後に評価を調整する可能性あり。
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