2030年度末開業予定の北海道新幹線札幌延伸に伴い、
函館本線長万部~余市間120.3キロをBAN(廃止)し、
バス転換する方針を沿線自治体が固めた。
これにより、並行在来線が廃止となるのは、
1997年の信越本線横川~軽井沢間以来全国2例目となった。
しかも今回は廃止区間の長さが信越本線横川~軽井沢間11.2キロと比べ10倍以上。
並行在来線に限らずこれほどの長距離区間が廃止されるのは久々のことである。
直近だと北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線140キロだろうか。
これに匹敵する長さとなる。
さて、長万部~余市間廃止確定の報道がされると、
案の定、Twitterでも廃止を惜しむ大量のツイートがされていた。
が、長万部~余市間廃止に関しては、
今になって急に検討されたものではない。
北海道新幹線新函館北斗開業のタイミングどころか、
何なら貨物列車が函館本線長万部以北(通称・山線)から室蘭本線経由へシフトした時点で、
既にある程度の予測(山線は廃止されるだろうという考察)は可能であったと思われる。
まあ、ニセコといった今となっては世界(特に中国)に名を馳せる観光地も鎮座しており、
その需要にうまく乗っかって鉄道の観光利用を増やすことも決して無理ではなかったが、
コロナ前の外国人観光客が急増する2018年度のニセコ駅の利用者数は200人足らず。
ニセコ観光の玄関口の1つでもある倶知安駅は利用者数1000人程度だが、
それでもニセコの知名度の割には少なめである。
ましてや山線は輸送密度も3桁と低く、
平成27年度の営業係数も573。
JR北海道が平成28年に公開した資料、
「当社単独では維持することが困難な線区について」と照らし合わせても、
営業係数573は事実上維持が難しい黄色の線区レベルである。
これらを鑑みても、
今になって山線の廃止はそれほど騒ぐことではないのではないだろうか?
まあ、それでも改めて新聞等で報道されるのを見ると、
現実を突きつけられたような感じはするが、
ここは冷静に受け止めるべきである。
あとは、新函館北斗以北長万部以南の処遇がどうなるのかは現在協議されている真っ最中なので、
結論を待つのみであるが、
営業係数を鑑みるとやはり現実は厳しいのではないだろうか。
運良くて三セク化、
砂原支線は利用者数を鑑みればBANの確率が高そうである。
函館~新函館北斗間は新幹線の連絡利用があるため廃止にはならないはずだが、
三セク化は避けられないだろう。
そうなれば、渡島管内のJR在来線は一気に消滅する。
まあ、三セク化になろうがJRのまま残ろうが、
一般の利用者にとっては利便性が確保されることが一番であるため、
その点を考慮することが大切だ。
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