昨年4月18日から約9か月にわたってお送りしてきた青鉄大研究会シリーズですが、
遂に今回をもって最終回となる見込みです(最後のまとめを次回投稿して終了となる予定です)。
最終回は、青い森鉄道の利用増加に大きく貢献したであろうあの経営戦略・・・
その名も「学校駅チカに移転して利用促進図っちゃうモーリー戦術!」
是非文意からお察しください()
そう、青い森鉄道では全線開業以降、
自社の駅チカに高校を続々移転させ、
学生の利用増加を図ってきました。
その発端となったのが2011年。
この年のダイヤ改正で野内駅が移転開業したと同時に、
青森工業高校が篠田地区(青森駅西口周辺)から野内駅近く(青森市営バス東部営業所付近)まで移転してきました。
上図は青い森鉄道青森市内の駅と沿線にある高校の位置図です。
ここで驚くべき点は、旧工業高校と新工業高校との距離。
マップで測ってみると、何と直線距離で8.6キロも移転したのです()
そもそも学校の移転というのは青森市内でも戦前から頻繁に行われてきました。
と言っても精々隣の地区など、
当時は市街地も狭かったため、
辛うじて歩ける距離の範囲内での移転が多かったのですが、
2011年の工業高校移転のケースは驚異の8.6キロであるため、
もはや徒歩圏内ではありませんw
駅数で言うと5駅先までの距離に匹敵するほどです()
それだけ2011年の工業高校移転のケースは異例と言えるでしょう。
で、旧工業高校の跡地はどうなっているのかというと、
旧校舎は移転から数年ほど経過してから解体され、
その後は安定の宅地開発が行われました。
住宅街にある公園には旧校舎の石碑があるので、
それが以前ここに工業高校があったことを物語っています。
そして青い森鉄道による学校移転作戦はこれで終わりません。
次に学校移転が行われたのは2017年のこと。
今度は青森商業高校が東造道地区(県病の海手側)から小柳駅付近の戸山地区に移ったのです。
移転距離は2.3キロほどで、
先ほどの工業高校と比べればそこまでの距離ではありませんが、
特記すべき点としては、
かつて存在した旧戸山高校の校舎を再利用する形で移転させたということです。
工業高校の場合は新しく校舎を建設しましたが、
商業高校の場合は廃校になった校舎に学び舎を移したといった感じです。
このように青い森鉄道では全線開業以降、
実に2度にわたる駅チカへの学校移転を行ってきたのです。
では、そもそもなぜ一第三セクター鉄道会社が、
こうやって公共性の高い学校を思うままに駅チカに移転させることができたのでしょうか?
その答えはこれまでの青鉄大研究会をご覧になった人なら簡単にお察しがつくと思います。
・・・そう、青い森鉄道は上下分離方式をとっている関係で、
青森県との結びつきがひときわ強いためです。
要は、青い森鉄道が自ら学校を移転させたというよりも、
裏では青森県が操作していることから、
あたかも一鉄道会社が、
容易に学校を駅チカに移転させたような錯覚に陥るのです。
工業高校と商業高校はいずれも県立であるため、
このような作戦が遂行できたというわけなのです。
そもそも先ほどの図を見れば分かるように、
青い森鉄道沿線にはこのほかにも複数の高校が集中しています。
筒井駅付近には青森高校、
東青森駅と小柳駅の間には県立保健大学、
矢田前駅付近には青森東高校がそれぞれ軒を連ねているのが分かります。
このように沿線に学校が集中している影響で、
朝ラッシュ時の車内は学生で埋め尽くされ、
サラリーマンが肩身の狭い思いをするほどですw
これほど繁盛しているのは、
言わずもがな青い森鉄道と青森県との連携プレーが成功したためです。
そもそも旧東北本線時代は通勤通学時間帯でさえ普通列車が1時間に2本しかなく、
悪く言うと「クソダイヤ」でしたw
それが青い森鉄道に移管されてからは普通列車の本数も増加したため、
より使いやすくなったのは事実です。
このような感じで青い森鉄道は青森県と連携し、
駅チカに学校を続々移転させ、
利用者数増加を図ってきました。
さて、今回の青い森鉄道が行ったケースは、
全国的にも利用者数増加の成功例として注目を浴びるようになりましたが、
あのJR北海道も近々青い森鉄道と同じ手法で利用者数増加を図ろうとしています。
舞台は宗谷本線が通る名寄市。
現在、市内には東風連駅という駅があるのですが、
この駅を名寄高校の近くに移転させる話が最近上がってきました。
そして駅名は名寄高校駅となる予定であり、
現東風連駅は廃止するとのことです。
この手法、どこかで聞いたことがあるような・・・
そう、まさに青い森鉄道の野内駅とそっくりそのままのやり口ではありませんかw
JR北海道はご存知のように深刻な大赤字となっており、
特に宗谷本線は人口希薄地帯を通る屈指の赤字路線です。
JR北海道が指定した「維持困難線区」に該当しており、
明日廃線になってもおかしくないような路線。
しかしそれは防ぐまいと名寄市が腰を上げ、
駅設置費用を全額負担してまで開業させるとのことです。
あれほどの赤字である宗谷本線ですから、
1校だけでは収支にあまり効果が出ないと思いますが、
今後このようなケースが続けば、
宗谷本線存続への光を見出すことができるでしょう。
名寄市の職員が当ブログの青鉄大研究会を見てこの発想を思いついたのかは分かりませんが・・・
ともかく青い森鉄道の例はこのような感じで全国の鉄道会社に良い影響を与えそうですね。
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