6月25日あたりの東奥日報の記事に小っちゃい枠でさり気なく載っていましたが、
秋田市に本社を構える秋田臨海鉄道が、
2021年3月をもって貨物鉄道事業を廃止する方針を突如掲げました。
これは衝撃的なニュースですね・・・
臨海鉄道と言えば青森県でも八戸臨海鉄道というものがありますが、
秋田臨海鉄道も同じくJR貨物グループの会社の一つで、
臨海部の工業地帯にある会社から生産された荷物を輸送する役割があります。
しかし近年は大口の輸送が減少していることで新たな荷主が見つからなくなっているうえ、
そこにトラック輸送の普及も拡大しているため、
鉄道で運搬する機会が失われつつあるとのことです。
秋田臨海鉄道も同じく上記の理由により取扱貨物数が年々減っていき、
トラック輸送に出番を奪われてしまった次第です。
秋田臨海鉄道は秋田港~秋田北港間2.5キロを結ぶ北線と、
秋田港~向浜間5.4キロを結ぶ南線の2路線を構えており、
全体の長さ的には8.5キロある八戸臨海鉄道よりもやや短めといったところですが、
かつては沿線に日本製紙や新日本石油といった工場から資材の運搬を任されていました。
しかし北線に限っては2015年をもって事実上休止状態となっていたため、
約5年間にわたり貨物列車の一つも運行されていなかったとのことです。
南線については現在日本製紙の資材を運搬するため唯一稼働しているのですが、
コンテナ数減少により年々経営が厳しくなり、
遂に来年をもって両路線ともにBAN(廃止)することになってしまいました。
やはり近年はトラック輸送のほうが小回りが利いて何かと使い勝手がいいとの理由で、
貨物鉄道事業は衰退の一途をたどっています。
特に地方についてはその影響が顕著に表れているでしょう。
日経の記事によると2019年度の輸送貨物量は7万5480トンだったんですが、
2014年度と比べると、
何と57%と大幅に減少していたのが判明。
僅か5年で過半数を超えるまで減っていたというわけなので、
相当深刻な状況だったことがうかがえます。
唯一頼りにしていた日本製紙も今となっては一部の製品しか貨物列車で運んでおらず、
さすがに効率が悪いということですべての製品をトラック輸送に切り替える予定。
遂に頼みの綱が消えてしまったということですね。
この悲惨な状況を見据え秋田臨海鉄道では鉄道事業を完全廃止し、
すべてトラック輸送に切り替えるとのことですが・・・
とは言え運送業界にもある大きな問題がありますよね。
そう、肝心となるトラック運転手の不足です。
頼みの綱である若者がイマイチ入ってこない影響で、
トラック運転手は高齢化まっしぐらという状況。
その理由はやはり運送業界のブラック要素がチラリと垣間見えているためです。
何せトラックドライバーと言えば長距離の移動がつきものであり、
青森からだと高速を使って関東なり東海なり、
とにかく長距離の移動をこなさなければなりません。
特に長時間労働というイメージからはなかなか払しょくできず、
「キツイ」「危険」「帰れない」の頭文字をとって「3K」と皮肉られるほどです。
まるでテレビの画質みたいですねw
これに加え最近では若者の車離れも加速しているため、
一層厳しさは増しているでしょう。
果たしてこのような状況で秋田臨海鉄道は上手くトラック輸送に切り替えることができるんでしょうか・・・?
因みに八戸臨海鉄道でもやはり貨物の取扱数は減少傾向にあり、
現在は三菱製紙専用線だけが残っています(三菱製紙のほかにも使っている会社があるかは不詳)。
ただこちらは1日まだ4往復ほどあるので、
秋田臨海鉄道ほど深刻な状況にはなっていないと思われますが、
油断はできませんね。
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