今日はコンパクトシティについてのネタです。
前回では、郊外ショッピングセンターとの差別化を図るため、
中心商店街は非日常を取り入れた、
「ファッション性の高い街」を目指すべきであるということについて触れていきました。
そしてコンパクトシティと聞いてもう一つ忘れてはならないのが、
市民生活の快適性向上と住居の集中についてです。
要は郊外の宅地開発を抑制するため、
市民が住むスペースを中心商店街周辺に集中させ、
ちょっとの移動で買い物や病院への移動が可能な「ウォーカブルタウン」を目指すというものです。
「ウォーカブルタウン」とは、
自宅から歩いて10分程度のところにスーパーや病院、
駅や行政窓口などが集まっているエリアのこと。
郊外では車移動が基本であり、
スーパーの買い出しなどに行く際は自宅からある程度距離が離れているケースが多いのに対し、
「ウォーカブルタウン」では車を使わなくても、
徒歩圏内に生活に必要なものがほとんど揃っているため、
車の購入費や維持費といった出費を抑えることができます。
青森市で言えば新町商店街が「ウォーカブルタウン」を目指しているところ。
その方策によって最近ある建物が急速に増えているのですが、
一体なんだと思いますか・・・?
その答えはズバリ、マンションです。
新町商店街を歩いていればわかると思いますが、
ここ10年以内でもマンションが相次いで建設されているのです。
直近では青森駅からもほど近い古川に15階建てのマンションが完成した次第。
もう直すると今度は中三や角弘でもマンションと商業施設を兼ねた複合施設が出来上がる予定となっています。
このように最近はマンション開発が増えているのですが、
これは一体なぜなのでしょうか?
山本恭逸(編著)『コンパクトシティ 青森市の挑戦』(ぎょうせい、2006年)
にはこのような記述があります。
要約してみると・・・
一戸建てと集合住宅 A氏
昭和45年:新町商店街の集合住宅に妻と子供1人で住む。週末はデパートでの買い物が楽しみであるが、間借りのため手狭な部分が不便と感じた。
昭和50年:バブル期にあたり一帯田んぼだらけの郊外に一戸建てマイホームを購入。車で5分ほどにスーパーがあり、同年代の住民も多く住居環境は良好。
平成17年:記録的な豪雪により雪かきをするも、老衰により作業が困難に。運転能力の低下を感じ免許を自主返納した。病院に通うもバスの本数が年々減少し、町自体が高齢化していった。
平成18年:駅前に医療施設が入ったマンションができると聞いて、自宅の売却益でローンを組もうと思ったが、家を手放したくない、買い手は見つかるのかという不安が過った。
コンパクトシティではただマンションを中心商店街に建てるのではなく、市民一人一人の不安を払拭しないといけない。
つまり、コンパクトシティでは、
郊外に住むシニア層をターゲットとして、
中心商店街にあるマンションへの移住を促しているのです。
郊外にある自宅を売ったその売却益で、
中心商店街のマンションのローンを組んで住んでもらう。
というのが青森市におけるコンパクトシティの魂胆でした。
しかしながら現実としては、
郊外にある家の買い手がなかなかつきにくいうえ、
売ったとしても売却益が少ないので、
それで中心商店街のマンションを本当に買えるかどうか?
という問題に直面しているのです。
これと同様A氏にはまだまだ家を売るという不安が過っており、
マンションの購入に対しハードルを感じていたということです。
したがって、コンパクトシティではこのような市民の不安も払拭しなければならない、
という結論に至るワケです。
当時青森市ではどちらかというと、
ただ一方的に市民に対して中心商店街のマンションに住めという魂胆が強かった気がします。
しかし最近の中心商店街はどうなっているでしょうか?
商業施設として破滅したアウガに行政窓口を突っ込み、
定期的に中心商店街を訪れてもらうという魂胆のもと試行錯誤したことで、
ある程度の賑わいを取り戻しつつあります。
まあ、これはあくまでもアウガの建物自体を維持するための特効薬という認識があるかもしれませんが、
周辺地域の交流人口増加という前提を踏まえると、
悪くはない措置だと思われます。
それが功を奏したのか民間による再開発も増えてきたため、
結論としては割といい方向に向いているのではないでしょうか?
ネットを見るとマンションの売れ行きも好調であり、
シニア層だけでなく3~4LDKクラスという家族世帯の入居も見込んでいるとのこと。
最近のマンションは昔よりも間取りや内外装に特段凝っているところが多く、
都会チックなうえ家族世帯でも生活しやすい合理的な部屋がきっと人気を呼んでいるのかもしれませんね。
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