昨日に引き続き、
青森市が目指していたコンパクトシティについてやっていきましょう。
前回の振り返りですが、
そもそもなぜ駅前再開発ビル「アウガ」が経営破綻し失敗に終わってしまったのか?
ちょうど同じタイミングで浜田にイトーヨーカ堂などの郊外の大型商業施設が登場し、
それによって客足が奪われたという、
“運の悪さ”というものもあるかと思いますが、
根本的な話ではそれが一番の原因ではありませんでした。
要は、中心商店街と郊外の大型商業施設とで棲み分けを十分に行っていなかったわけです。
郊外の大型商業施設が続々完成してから急速にクルマ社会が普及していったことで、
既に店側が用意してある大型駐車場が無料で使えることに対し、
中心商店街にある駐車場というのは基本課金しなければ利用できません。
一部では30分以内無料のシステムがあるものの、
特に女性など買い物好きな人にとっては30分だけでは明らかに足りないでしょう。
しかも売っているものは郊外の大型商業施設と大差ないうえ、
価格もそこそこ張るものが多いため、
わざわざ中心商店街まで行って買うという行為自体が市民にとって理解されていないのです。
では、中心商店街は今後どのような手を打つ必要があるのでしょうか?
昨日ご紹介した、
山本恭逸(編著)『コンパクトシティ 青森市の挑戦』(ぎょうせい、2006年)
の見解によると、
中心商店街は「ファッション性のプレステージ」であると言及しています。
ファッション性のプレステージとは一体?
詳しく読み進めていくと、
「ファッション性の高い買い物は地元ではなく、より上位の商店街で買う傾向にある」
「商店街はいわば絵画や舞台であり、自身がそこにいることで絵画の一部や主役を演じているような気分になれる」
と書いてあります。
つまりどういうことかというと、
要は「商店街の効果で自分を洗練したい」ということです。
よく大都会に憧れ東京に引っ越す「上京」という行動がありますよね。
あれは仕事の都合以外にも、
魅力あるファッションブランドなどの店が軒を連ねている商店街が東京には多いことから、
自身もそこで買い物をするという行動そのものに憧れを感じたいためです。
つまり、中心商店街=モノ消費ではなく、
中心商店街=コト消費であるのが本来のあるべき姿だということです。
山本氏によると、
「買い物だけならネット通販で十分だが、それだけでは得られない、買い物を楽しむプロセスが中心商店街の魅力である」
「店員と顧客のコミュニケーションや、商品ディスプレイを見て新たな発見をするのが、中心商店街の魅力」
「ファッション性のプレステージは100万都市クラスにあり、地方都市と異なり空き店舗も少なく、県外からも客を呼び込み一大商業圏を形成する力がある」
このように述べています。
要は「非日常を味わいたい」わけですね。
確かに東京に憧れる大半の人は、
上記のような生活がしたいが上に、
例え1Kほどの狭小アパートに住んだとしても、
近くに魅力ある中心商店街が存在するなら我慢できるのです。
中目黒や自由が丘、表参道などの商店街で買い物をする人は、
一見”モノ消費”をしているかのように見えますが、
実際は”コト消費”をしているのです。
特に買い物はないけどいるだけで楽しい気分になる街、
何となく歩いただけでも幸せな気分になる街、
それが本来の中心商店街のあるべき姿だということです。
媒体こそ違いますがYouTubeもこれと似たような効果を発揮しています。
明確な目的はないけどなぜか見たくなる。
それによってあっという間に夜になった・・・
なんていう経験はよくあることですよね。
某日テレの番組で上京する人を取り上げるコーナーがありますが、
ほぼすべてに共通するのがまさに上記のようなケースです。
自分が住むアパートがたとえ狭小だとしても、
中目黒や自由が丘、表参道などの、
ファッション性のプレステージが確立されている商店街で買い物ができるなら、
住む部屋は小さくてもいい。
だからできるだけ安いところにこだわっているわけです。
では、青森市の新町商店街に、
このようなファッション性のプレステージが確立されているエリアはあるでしょうか・・・?
まあ、最近でこそ再開発が進んで幾分かは改善されつつありますが、
隅々まで見るとどうしても昭和感垂れ流しの通りが未だに残っていたり、
商品だけ並べて特別何もしない店、
ぱっと見何を軸に売っているのかイマイチ検討がつかない店も存在しています()
なので青森市の一等地である新町商店街でも、
ファッション性のプレステージを実現できれば、
おのずと地域外から人が来るはずです。
では、具体的に新町商店街に人が来るようにするにはどう対策を打てば効果的か?
これについて次回考えていきましょう。
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