今日は久々となりますが、
まだネタが残っている青鉄大研究会をやっていきましょう。
以前に上下分離方式というものをお伝えしていますが、
今回はそれに深く関係する「第〇種鉄道事業者」というワードについてフォーカスしていきます。
そもそもこの「第〇種鉄道事業者」の”〇”の中には何が入るのかというと、
鉄道事業者によって1~3の数字がそれぞれ附番されています。
因みに日本には現在、
203の鉄道事業者が存在しているのですが、
我が国を代表するJR各社や大手私鉄だけではなく、
列車の運行を他の鉄道事業者に委託する鉄道事業者や、
モノレール、新交通システム、鋼索軌道、無軌条電車を扱う鉄道事業者すべて込み込みでこの数になります。
では、1~3の数字は具体的にどういう意味を表しているのでしょうか?
それは、以前に解説したあの「上下分離方式」というワードがカギになります。
鉄道事業法第2条という法律によると、
まず、第一種鉄道事業というのは「上下”一体”方式」と言い、
JRや私鉄、三セク各社など、
実に7割に及ぶ鉄道事業者がこれに当てはまります。
「上下”一体”方式」であるため、
駅舎や線路などの鉄道施設の保有(下)は勿論のこと、
鉄道事業の運営(上)もすべて自社で行っていることになります。
我が青森県関係で言えばJRのほか弘南鉄道や津軽鉄道が該当します。
続いて第二種鉄道事業。
こちらは「上下分離方式」のうち運送・経営のみを行っている鉄道事業者が当てはまります。
つまり、駅舎や線路などの鉄道施設は他社の物を使用し、
それを借りて列車を走らせています。
代表的なのはJR貨物。
例えば東京から青森まで貨物列車を運行させるとなれば、
JR東日本などの線路を通らなければ運搬できないので、
JR線を借りて貨物列車を運行しています。
最後に第三種鉄道事業ですが、
こちらは「上下分離方式」のうち施設の整備・保有のみを行う鉄道事業者となります。
要は、「鉄道施設は自社で保有するけど列車の運行は他所がやってね」
という丸投げのような感じです。
なので、大家と入居者の関係で言えば大家が第三種鉄道事業者みたいなものです。
千葉ニュータウン鉄道などのように、
比較的最近になってからニュータウン開発が行われた地域に鉄道を敷設して、
その区間を経営する鉄道事業者が多く見られます。
また、経費削減の目的から地方自治体が鉄道施設を受け持って運営するケースも多いのが特徴です。
以上の内容を表でまとめるとこのような感じです↓
事業の種類 | 施設の整備・保有 | 運送・経営 | 備考 |
第一種鉄道事業 | 〇 | 〇 | 上下一体方式 |
第二種鉄道事業 | - | 〇 | 他社線を借りて旅客・貨物の運送を行う |
第三種鉄道事業 | 〇 | - | 線路を敷設するも列車運行は他社が行う |
では、これらを踏まえ青い森鉄道の場合を考えてみましょう。
以前の復習になりますが、
青い森鉄道では駅舎や線路などは青森県が保有しており、
列車の運行だけ自社で行っていることになります。
また、青い森鉄道線には貨物列車も走行していることから、
JR貨物も青い森鉄道の線路を借りています。
ということはどうなるか・・・?
事業の種類 | 施設の整備・保有 | 運送・経営 |
第二種鉄道事業 | - | 青い森鉄道&JR貨物 |
第三種鉄道事業 | 青森県 | - |
まとめると上表のようになりますね。
なお、青い森鉄道線にはJR東日本の列車(快速しもきた等)も走っているので、
JR東日本も上表に入るんじゃないのか?
と思うかもしれませんが、
実はこのケースとはまた違います。
快速しもきたは青い森鉄道線と「直通運転」を行っていますが、
この場合は自社(JR東日本)の営業路線とみなしていないため、
JR東日本は入ってきません。
要は、「直通運転」は第二種鉄道事業に当てはまらないという理屈なのです。
ちょっとややこしいですね()
ということで今回は”第〇種鉄道事業者”の意外と知らない構造について解説しました。
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