前回の青鉄大研究会では貨物調整金の大まかな実態について暴露しましたが、
今回もそのお話の続きです。
振り返りとなりますが、
そもそも貨物調整金の目的はJR貨物および、
並行在来線に相当する青い森鉄道をはじめとする、
第三セクター鉄道への支援策として設けられた制度です。
ある記事によるとこの貨物調整金は2014年に新設されたものとなっているようで、
この制度によって全国各地の並行在来線に相当する第三セクター鉄道の経営をバックアップする目的があります。
青い森鉄道の場合は、
上下分離方式の関係により事実上青い森鉄道のオーナーとなっている、
青森県への貨物調整金相当分(線路使用料)のカネが支払われています。
しかし前回もお伝えしたように、
青森県はいろいろと奮発したことで、
2016年を機に全体的な貨物調整金を10.6億円増額させることに成功したため、
青森県へ入ってくる貨物調整金相当分(線路使用料)が4.6億円増えました。
一方、これとは別に青い森鉄道へ対しても6億円の収入が入ることになりました。
青い森鉄道は青森県から線路を借りている立場なのですが・・・
では、なぜ青い森鉄道への貨物調整金が新たに新設されたのでしょうか?
それは、北海道新幹線開業によって青い森鉄道の業務が増加したためです。
なぜここへ来て北海道新幹線がかかわってくるのかというと、
青函トンネルを含む新幹線と在来線の共用区間に対応する貨物列車の機関車(EH800)の付け替えが、
青い森鉄道のテリトリーである青森信号場およびJR貨物東青森駅で行われ始めたためです。
↑左の青い森セントラルパーク左側が青森信号場、右がJR貨物東青森駅
これは2016年の北海道新幹線開業によって、
共用区間の電圧を新幹線の走行に対応するよう引き上げたことで、
これまで在来線の電圧に対応していた機関車では走行することが不可能になりました。
そこでJR貨物では共用区間専用の機関車を開発し、
新幹線が走る共用区間においても機関車の走行を可能にしました。
よってその共用区間専用機関車と在来線対応の機関車の交換作業を、
青森信号場およびJR貨物東青森駅にて行う必要が出てきたため、
青い森鉄道の作業量が増えたのです。
では、具体的にどのぐらい青い森鉄道の作業量が増えたのでしょうか?
2016年の東奥日報によると、
北海道新幹線開業前は1日3回しかなかったのですが、
新在供用区間に対応した機関車と在来線のみに対応した機関車の交換作業により、
何とその10倍となる30回にまで爆増したのです。
さすがにこのままでは青い森鉄道にとって不利になるため、
施設を使用する際に発生する経費諸々を考慮すべく、
国は青い森鉄道の新業務を支援すべく貨物調整金年間6億円の増額を決断したのです。
要は北海道新幹線開業によって、
棚ぼた的に青い森鉄道へカネが入ってくることになったと言えるでしょう。
逆に北海道新幹線が開業していなければ、
共用区間における新幹線に対応した電圧に引き上げることがないので、
同時に共用区間に対応した機関車も開発することはありません。
したがって青森信号場およびJR貨物東青森駅での機関車交換作業も発生しないため、
必然的に青い森鉄道への貨物調整金も入ってきませんよね。
ちなみに以前の記事で青い森鉄道の線路使用料の請求額及び支払い額推移について触れましたが、
2016年を機にやたらと支払い額の面が増えているのがお分かりいただけると思います。
これは無論、今回の機関車交換作業が増えたことによる青い森鉄道への支援策として、
貨物調整金6億円が増額されたことから一気に数値が拡大したというからくりなのです()
それにしても、貨物調整金というのは実に奥が深いものですねw
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