今日の青鉄大研究会はこれまた複雑な仕組みとなっている「線路使用料」というものについてご紹介いたします。
ここまですべての記事をご覧になられた方であれば、
青い森鉄道と青森県の関係については大方ご存知かと思いますが、
今回はその関係を裏付ける重要な部分と言っても過言ではない「線路使用料」の実態に入り込んでいきます。
これまでの復習になりますが、
青い森鉄道の線路や駅舎などは青森県が保有しており、
青い森鉄道(株)はその県が保有している線路を借りて列車を運行しています。
これが「上下分離方式」です。
そして、お察しがつくと思いますが、
青い森鉄道の線路は無論青い森鉄道のものではなく青森県のものであるため、
線路を使用した分カネを支払わなければなりません。
これを「線路使用料」と言います。
大家と入居者の例えで言えば、
当然のようにアパートなどは大家のものであって入居者のものではないので、
一室を使用する入居者は大家に対して賃料を払う必要がありますよね。
このような関係が鉄道事業者同士でも起こっているのです。
では、青い森鉄道は青森県に対して毎年どのぐらいの線路使用料を支払っているのでしょうか?
その模様が一目でわかる表とグラフを青い森鉄道の決算書をもとに作成してみました↓
★青森県が青い森鉄道へ請求した過去18年間の線路使用料と支払・減免額
年度 | 請求額 | 支払額 | 減免額 |
2002 | 不詳 | 不詳 | 不詳 |
2003 | 不詳 | 不詳 | 不詳 |
2004 | 不詳 | 不詳 | ¥279,183 |
2005 | ¥272,633 | ¥0 | ¥272,633 |
2006 | ¥263,050 | ¥0 | ¥263,050 |
2007 | ¥269,186 | ¥0 | ¥269,186 |
2008 | ¥279,756 | ¥0 | ¥279,756 |
2009 | ¥293,676 | ¥0 | ¥293,676 |
2010 | ¥767,537 | ¥0 | ¥767,537 |
2011 | ¥705,136 | ¥13,903 | ¥691,233 |
2012 | ¥742,082 | ¥73,949 | ¥668,133 |
2013 | ¥704,359 | ¥113,420 | ¥590,939 |
2014 | ¥671,777 | ¥157,600 | ¥514,177 |
2015 | ¥546,909 | ¥117,457 | ¥429,452 |
2016 | ¥501,373 | ¥436,863 | ¥64,510 |
2017 | ¥483,888 | ¥483,888 | ¥0 |
2018 | ¥507,784 | ¥507,784 | ¥0 |
※2002~2004年度の費目はデータが不十分なので割愛。
いかがでしょう。
上表及び上図が青森県が青い森鉄道へ請求した過去18年間の線路使用料と支払・減免額をまとめたものです。
なお、2002年から2004年度の間はデータがちょっと足りなかったので一部割愛しました。
実は2016年の東奥日報でこの線路使用料について取り上げており、
ついでに線路使用料の請求額及び支払額の推移をグラフにした図なんかもあったんですが、
具体的な数値が書き込まれていなかったので今回ばかりは載せられませんでした()
青い森鉄道の決算書も散々あさってみましたが、
なぜかその3年分の数値だけどこにもなかったのでさすがに諦めましたw
まあそれは別問題として考察へとはいりましょう。
まずグラフでも分かる通り、
2005年から2010年の間は線路使用料を青森県より全額免除されているのが分かります。
理由としては青森延伸の際に営業キロが5倍になったことから、
その分のコストが積み重なって経営に余裕が出なくなったためだと思われます。
この間では青森延伸へ向け車両購入や自動券売機の整備など色々と準備が行われていたので、
この6年間のみは線路使用料が全額免除となっています。
本格的に青い森鉄道が支払うようになったのが2011年以降であり、
ここから徐々に支払う額が増えているのが分かりますね。
同時に減免措置も徐々に少なくなっております。
そして2017年以降はなんと線路使用料を全額支払えるようになりましたw
まあ、これについてはグラフにある「貨物調整金」という何やらいやらしいワードがカギとなるのですが、
これについては次回以降解説します。
また、以前営業係数の算出の際にもちょうどこの年に98まで改善したことから、
最近の青い森鉄道の経営は少しずつ余裕が出てくるようになったという証拠が確率されたと言えるでしょう。
ということで今回は青い森鉄道が青森県に支払う「線路使用料」の実態について調査しました。
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