今日も青鉄大研究会をやっていきましょう。
パート7では青い森鉄道をはじめとした、
「第三セクター鉄道」の仕組みについて詳しく解説していきたいと思います。
そもそも第三セクターという言葉自体は鉄道業界のみならず、
都市開発や観光・レジャー、
ケーブルテレビといった放送局でも導入されている経営形態であり、
日本でも幅広い業界で取り入れられています。
簡単にイメージ図にするとこのような感じです↑
内容を整理すると、
第三セクターの上には第一セクターといって、
これには国や地方公共団体が該当します。
続いて第二セクターとしては営利目的の企業がこれに該当します。
そして今回のテーマである第三セクターというのは、
第一セクター及び第二セクターから出資して出来上がった会社や団体のことを意味しているのです。
では、青い森鉄道の場合はどのような仕組みになっているのでしょうか?
まず、第一セクターとしては、
東北新幹線の青森県側の並行在来線として青い森鉄道が誕生し、
本社も青森市にあるので、
ここでの第一セクターは青森県及び青い森鉄道沿線自治体である青森市や八戸市等が該当します。
決算書類にも青い森鉄道の株を買っている自治体すべてが載っているので、
これが決定的な証拠ですね。
続いて第二セクターは営利目的の企業であるため、
青い森鉄道の株を買っている純民間企業がこれに相当します。
株主一覧を見ると分かりますが、
青い森鉄道の場合は同社の線路を使用しているJR貨物をはじめ、
地元の金融機関である青森銀行やみちのく銀行、
さらには東北電力といった電力会社が株を買っています。
これらの純民間企業と地方公共団体が出資したものが第三セクターとして青い森鉄道が設立されたのです。
また、一括りで第三セクター鉄道といっても色々と種類があり、
大まかに分けると以下の5タイプがあります↓
①国鉄やJRから経営が切り離された赤字ローカル線(特定地方交通線)及び建設中に工事が凍結された路線
②整備新幹線の開業によってJRから分離された並行在来線区間に相当する路線
③赤字の私鉄路線
④臨海鉄道(貨物)
⑤上記以外の新規に鉄道を開拓した会社の路線
では、青い森鉄道は上記のうちどこに入るでしょうか・・・?
文面の通り解釈していくと、
青い森鉄道は2つ目の「整備新幹線の開業によってJRから分離された並行在来線区間に相当する路線」に該当します。
前回までの青鉄大研究会の記事をすべてご覧になられた方であれば理解が容易だと思いますが、
青い森鉄道は整備新幹線である東北新幹線の並行在来線として、
JR東日本から切り離された路線です。
よって2つ目に該当するということになります。
因みに我が青森県内に限った話では、
④の路線にはJR貨物系列の八戸臨海鉄道が、
⑤の路線には南部縦貫鉄道がそれぞれ該当しています。
ただ、南部縦貫鉄道については1997年に廃止となり、
現在はタクシーなどを運営する南部縦貫株式会社に化けています。
まあ、”鉄道が縦に走っていた”ことから社名にも”縦貫”とつけたのでしょうが、
鉄道事業廃止後はもはや縦貫もクソもなくなりました()
しかしそれ以上に、
鉄道事業廃止後も未だに”電鉄”を名乗っている、
十和田観光電鉄のほうがタイトル詐欺感がありますけどね()
まあそれは置いておいて・・・
では、そもそもなぜ第三セクター鉄道というものが存在しているのかというと、
要は経営的に厳しいことが予測されているためです。
先ほどの5分類のように、
赤字路線として国鉄やJRから切り離されるものの、
赤字を覚悟してでもどうにかして地域交通を維持したいと思っている会社が多いです。
しかし赤字路線の鉄道事業者単体ではとても維持ができません。
そこで救世主となるのが地方公共団体や純民間企業です。
これらが赤字路線の鉄道事業者に出資することで、
鉄道路線をどうにかして維持できるようにするのです。
青い森鉄道もこのような工夫があったからこそ何とか維持できているのですね。
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