【将来どうなる?】JR東日本青森エリア赤字線区の生存率を推測してみた

交通研究

先般、JR東日本が青森エリアを含む赤字線区の収支状況を公表し、

その悲惨な状況を目の当たりにした各自治体は何かと対応に追われているようだ。

さて、前回の記事で話が途中で終わってしまったため、

今回はその続きとなる各路線の将来について具体的に分析していくとする。

路線 運輸収入 営業費用 収支 平均通過人員 営業係数
奥羽本線大館~弘前 2.0 26.4 -24.3 1165 1277
大湊線野辺地~大湊 1.5 14.2 -12.6 533 912
五能線能代~深浦 0.7 16.5 -15.8 309 2256
五能線深浦~五所川原 1.1 15.0 -13.8 548 1253
五能線五所川原~川部 1.1 8.0 -6.8 1507 677
津軽線青森~中小国 0.9 22.6 -21.6 720 2326
津軽線中小国~三厩 0.09 7.2 -7.1 107 7744
八戸線鮫~久慈 0.9 15.5 -14.6 454 1682

※運輸収入、営業費用、収支の単位は「億円」、平均通過人員は「人」、営業係数は「円」。

平均通過人員が2000人以上の路線、線区は未掲載。

参考:ご利用の少ない線区の経営情報を開示します‐JR東日本

前回も掲載した青森地区における各赤字路線の収支状況である。

このデータおよび各路線の情勢等を鑑み、

最終的にはどのぐらい廃線になるリスクがあるかの生存率を推測してみようと思う。

まずは、奥羽本線大館~弘前と津軽線青森~中小国から。

上記2線区に関しては結論からいうと、

廃線になる確率はほぼ0%、

つまり生存率はほぼ100%であるとみている。

上記2線区の共通事項としては、

貨物列車が走っており、

物流の面で見ても重要な線区であるからだ。

上記2線区は輸送人員としては多くはないものの、

その代わりに貨物列車がバンバン走っていることから、

物流の面(特にJR貨物視点)では残ってもらわないと困るというのが実情であろう。

JR東日本や国のほうでもコメントしているが、

このような特急列車や貨物列車が走っている、

加えて主要都市を結ぶといった線区に関しては、

議論の対象外としている。

次に五能線五所川原~川部。

当該区間は上表を見ても分かるように、

収支、平均通過人員、営業係数ともに最も成績が良い。

この要因としては、

非電化という低コストに加え沿線人口も比較的多いことから、

数字としては赤字線区の中では良好の部類に入るとみている。

従って、生存率で言えばこちらもほぼ100%といったところであろうか。

次に五能線能代~深浦と五能線深浦~五所川原。

五能線五所川原~川部と比べれば利用者数の面では劣るものの、

やはり何と言ってもリゾートしらかみの経済効果が高いため、

観光需要が大きいという特徴がある。

現在は豪雨災害により運休しているが、

最も多い時でリゾートしらかみが1日3往復も走る。

観光列車が1日3往復走る路線など全国的に見てもここ五能線ぐらいであろう。

あれだけリゾートしらかみに投資をしたのだから、

廃線となることはまず考え難い。

それだけ五能線は観光需要が多く人気の路線であることが伺える。

確かに地元民の利用者数は少ないものの、

リゾートしらかみの観光客数でその分をカバーしているため、

この区間も廃線になるリスクは低いとみている。

生存率で言えば95%であろうか。




続いて八戸線鮫~久慈と大湊線野辺地~大湊。

上記2線区は極端に数字が悪いわけではないが良くもないといった状況であろうか。

共通事項としては、

現在高速道路の整備が進んでいる点である。

いずれの区間も鉄道と高速道路がほぼ平行して走っている関係上、

バッチバチの戦いを繰り広げているのもある。

特に八戸線に関しては八戸~久慈間で高速バスが君臨してきたことにより、

八戸線鮫~久慈間においてはより一層厳しい戦いが待ち受けているに違いない。

また大湊線に関しても現在下北道がほぼ平行して整備が進められている。

大湊線の優位性としては、

何と言っても快速しもきたの「速い・安い・正確」が売りである点だ。

輸送人員もコロナ禍を除けば数年もの間500人台をキープしているほど。

一方で現在も並行して走る国道279号は、

数年前吹雪による深刻な立ち往生が発生し、

その脆弱性が浮き彫りになった。

この国道279号がある程度ポンコツであるおかげで、

大湊線は今日も維持できている。

が、下北道が全線開通した暁にはそちらのほうに利用客がシフトしてしまう恐れがあり、

先行きが読めないのが難点である。

生存率としては大湊線野辺地~大湊が90%、

八戸線鮫~久慈が85%と言った具合か(高速バスの台頭を反映)。

そして最も問題なのが津軽線中小国~三厩。

上表の通り運輸収入も一番少なければ営業係数も一番悪い。

営業費用の面では辛うじて最も成績が良いのが救いだが、

それでも7,000越えの営業係数は無視できない数字である。

一方当該区間は繁忙期になれば臨時列車が1往復増え、

奥津軽いまべつ駅で新幹線との接続も考慮して走らせていることから、

維持する気力は少なからずともまだ残っているとみている。

前回のダイヤ改正においても新幹線との接続を改善するなど、

テコ入れはそれなりにされている。

しかし、当該区間は臨時の観光列車が走る機会が少ないうえ、

今年から始まった乗合タクシーの台頭も鑑みると、

現状、なかなか厳しい情勢であるが、

何とも読みが難しいといった具合。

これらの状況を鑑み生存率は50%とした(←最も無難な数字w)。

以上、各線区の生存率をまとめたものが以下である↓

路線 推測生存率
奥羽本線大館~弘前 ほぼ100%
大湊線野辺地~大湊 90%
五能線能代~深浦 95%
五能線深浦~五所川原 95%
五能線五所川原~川部 ほぼ100%
津軽線青森~中小国 ほぼ100%
津軽線中小国~三厩 50%
八戸線鮫~久慈 85%

※あくまでも当ブログによる予測であるため、すべて鵜呑みにしないことをおすすめする。

先般の豪雨災害により五能線や津軽線の一部区間で長期間運休が続いていることもあり、

復旧工事が進まないまま廃線になるんじゃないかという悲観主義者も多いようだが、

JR東日本も言及している通り、

復旧工事が進まない⇒廃線まっしぐら

という流れにはならないと断言しているためその点については理解されたい。

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