【青鉄大研究会part5】青い森鉄道の営業係数を解析 どれだけ改善されたか!?

交通研究

昨日に引き続き青鉄大研究会をやっていきたいと思います。

今回解説するのは青い森鉄道の営業係数についてです。

そもそも営業係数というのは、

鉄道路線やバス路線の経営状態を知るときによく用いられる指標であり、

簡単に言うと100円を稼ぐためにかかった費用を表した指数です。

扱い方としては基本的に100円を超えれば赤字、

100円を下回れば黒字ということになります(絶対額ではないことに注意=あくまでも収入と費用の比率)。

営業係数の発端はあのキングボンビーこと国鉄が、

ドル箱路線や閑散路線の営業成績を比較する際、

リストアップする時に使われていた指標でもあります。

そしてその営業係数が悪い線区においては廃線候補としてでっち上げられ、

一部を除いてはバッサリ切られていくことになります。

しかしJRになってからは面倒くさいという理由なのか、

途端に線区ごとの営業係数を公表しなくなりました()

まあ、利用者側からしてみれば、

普段乗っている路線については大体検討がつくものなので絶対的に必要というわけではありませんが、

各線区の利用者数の状況を一握する際にはやはり営業係数が手っ取り早いものです。

ということで早速青い森鉄道の営業係数を見ていきましょう。

期数

収入 支出 営業収益 営業外収益 営業費 営業外費用 営業係数
1 423 15,468 0 423 14,377 1,091 3656.7※1
2 137,929 199,181 137,758 171 184,966 14,215 144.4
3 443,611 443,289 443,546 65 429,109 14,180 99.9
4 430,287 425,526 430,214 73 411,368 14,158 98.9
5 435,362 450,698 435,317 45 436,549 14,149 103.5
6 429,154 431,414 428,828 326 418,357 13,057 100.5
7 418,442 435,370 417,860 582 429,446 5,924 104.0
8 360,661 418,450 359,999 662 413,084 5,366 116.0
9 355,915 473,436 348,128 7,787 468,070 5,366 133.0
10 1,753,018 1,881,600 1,745,876 7,142 1,876,234 5,366 107.3
11 5,050,326 5,041,591 5,044,906 5,420 5,041,591 0 99.8
12 5,423,940 5,407,490 5,417,968 5,972 5,407,480 10 99.7
13 5,597,293 5,578,839 5,592,690 4,603 5,573,270 5,569 99.7
14 5,584,569 5,570,207 5,579,365 5,204 5,554,481 15,726 99.7
15 5,370,424 5,336,139 5,367,889 2,535 5,321,590 14,549 99.4
16 6,284,824 6,248,391 6,282,637 2,187 6,234,893 13,498 99.4
17 6,174,275 6,049,443 6,171,869 2,406 6,035,306 14,137 98.0
18 5,860,793 5,730,202 5,858,290 2,503 5,714,699 15,503 97.8

※1 第1期はまだ営業運転を開始しおらず営業収益が無いため営業係数の最低値としていない。

※2 営業係数はウィキペディアを参考に算出しており、付帯事業も考慮した。

※3 営業係数以外の費目は千円単位。

上表は青い森鉄道のホームページに掲載されている過去18年分の損益計算書の一部を抜き取って、

収入と支出及びその内訳と営業係数を期数ごとに羅列したものです。

数字だらけで見づらいと思いますが(スマホは横にするといいかもしれません)、

分かりやすくするためレンジ系を収入、

水色系を支出とそれぞれの費目を背景色ごとに分けています。

本来ならシンプルに収入と支出の2つだけ載せても良いのですが、

詳しく内訳を知るためにも営業外収支の部分も引っ張ってきました。

では分析へと入ります。

営業係数については2期目に八戸延伸に伴う工事が発生したことから最低値となっていますね。

目時~八戸間は利用者数が少ないのでちょっとヤバそうですが、

それでも144.4に抑えているので極端にヤバいというわけではないですね。

9期目では再び133.0に上昇していますが、

これは青森延伸に伴う工事が発生したためです。

八戸~青森間の開業によって、

営業キロが目時~八戸間の運営の時と比べると約5倍も拡大していることから、

営業係数が大幅に膨張したというわけです。

しかし青森延伸後は膨張するどころか徐々に抑えられており、

11期目で早くも100以下に、

さらに年々100から離れるようになっていき、

最新の18期目ではなんと過去最高となる97.8にまで改善されているのが分かります。

1期目を除き2期目の144.4の時と比べても約47ポイントも改善されているので、

これは年々経営状況が良くなりつつあると判断できますね。

営業係数をグラフにしてみました。

基本的には100ギリギリをキープしていますが、

八戸開業時以降数値は年々改善されており、

青森延伸時の手前でいったん跳ね上がるものの、

そこそこの利用者数が確保できたため以降再び100前後にまで改善されています。

近年では商業高校移転で生徒の利用が拡大したことから、

その効果も表れていますね。

これらのデータから見ても、

色々と経営的に工夫した結果青い森鉄道は100以下=黒字をキープしているため、

ほかの第三セクター鉄道と比べれば経営状況は良いほうと言えるでしょう。

ということで今回は青い森鉄道の営業係数について解説しました。

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