鉄道廃止後の選択肢はバス転換だけではない!
十和田観光電鉄線、南部縦貫鉄道線、下北交通大畑線、弘南鉄道黒石線。
これらの路線は青森県内で平成までに廃線となった私鉄です。
いずれもモータリゼーションや沿線人口減少等によってBAN(廃止)を回避できなかったものばかりですが、
これに対し私は疑問を抱かざるを得ません。
それは何かというと、
「本当にバス転換しか選択肢はなかったのか?」
鉄道路線が廃止されても、
利用客はゼロになったわけではないので、
ほとんどはバス転換というケースになりますが、
現代ではバス以外にも選択肢があります。
例えば、ライトレールやBRTという交通システムです。
ライトレールはどちらかというと都市部の短距離移動を中心に担うものであり、
距離が長い線区が多い先ほどの4路線にはあまり向かないと思われます。
ということは、残った選択肢にBRTがありますね。
BRTとは「バス・ラピッド・トランジット(英: bus rapid transit)」という意味であり、
バスをベースにした大量輸送システムです。
要はバスに鉄道要素を混ぜ込んだようなもので、
一般の路線バスより輸送力はやや高いですが、
鉄道ほどの輸送力はありません。
輸送力と維持費では、
路線バス<BRT<ライトレール<鉄道
といったところでしょうか。
その分、利用客が少ないエリアでも導入のハードルが低いので、
維持費が軽く済みます。
そのためBANした4路線の多くはバス転換となりましたが、
BRTならまだ導入への障壁は低かったのではないでしょうか?
南部縦貫鉄道線と十和田観光電鉄線にBRTを導入した場合を考えてみる
では、もし青森県内の廃線にBRTを導入した場合、
どのようになっていたのでしょうか?
ここでは、その中でも将来性のあった南部縦貫鉄道線と十和田観光電鉄線に焦点を当てて、
理想のルート設定や主要設置駅を図に表してみました。
なぜ両者を一緒にしたのかというと、
合体させて東北新幹線七戸十和田駅に乗り入れ可能にするためです。
というのも、七戸十和田駅はかつての南部縦貫鉄道線(営農大学校前駅 – 盛田牧場前駅間)と交差しており、
特に営農大学校前駅から七戸十和田駅は徒歩5分程の至近距離だったのです。
そのためかつては、
密かに七戸十和田駅乗り入れ計画があったのですが、
新幹線開業前にBANを回避できなかったため、
計画ごと抹消してしまいました。
さらには、七戸駅より南下し、
三本木で十和田観光電鉄十和田市駅に接続するという幻の未成線計画もあり、
これは一鉄道ファンとして放置できないような見ごたえ満載の計画でした。
そういう経緯もあり、
ここでは南部縦貫鉄道線と十和田観光電鉄線を合体させ、
さらに七戸十和田駅乗り入れを実現させた場合のBRTを考えてみました。
十和田観光電鉄線及び南部縦貫鉄道線は、
廃線跡の大半を活用して専用道路を敷設し、
七戸十和田駅へ乗り入れるルートとなっています。
未成線の区間は新規にBRT専用道路を敷設します。
距離は南部縦貫鉄道線が20.9㎞、
十和田観光電鉄線が14.7㎞。
未成線区間は直線で測ったところ約9.3㎞でしたので、
合計は約50㎞となります。
廃線となった福島県の白棚線(はくほうせん)のケースで23.3㎞なので、
その倍近くの長さになりますね。
七戸十和田駅乗り入れの評価は結構高い?
先ほど南部縦貫鉄道線営農大学校前駅から七戸十和田駅は徒歩5分程の至近距離だということをお伝えしましたが、
仮にBRTを導入し、
南部縦貫鉄道線が七戸十和田駅に乗り入れた場合、
かなり重宝されると思います。
何せ十和田観光電鉄線が廃止されて以降、
十和田市には鉄道駅すらなくなりましたし、
そこから七戸十和田駅へは時間のかかる路線バスのみが設定されているぐらいなので、
少なくともBRTの導入はそれなりのメリットがあると思われます。
逆に七戸十和田駅にBRTが乗り入れた場合、
十和田市や野辺地町、
下北方面等へのアクセスも容易になるでしょう。
まじまじに路線バス転換だけを検討するのではなく、
このような多様な交通システムの案も検討すべきだったと思います。
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