これまた面白い調査が、
東奥日報(5月6日付)で報道されていたので解説したい。
共同通信が各都道府県の、
交通政策課などの部署へアンケートをとったところによると、
鉄道事業者が過去10年間実施したダイヤ改正において、
17府県が住民の通勤通学や観光面で、
「懸念通り、または懸念以上のマイナスの影響」
を経験したことが判明。
また、17府県含め実に33道府県が、
負の影響を懸念したことがあることも明らかとなった。
いわゆる「ダイヤ改悪」である。
記憶に新しいのが今年3月のダイヤ改正で、
JR千葉支社が京葉線の朝などに走っている、
快速の大半を廃止するという暴挙を振るったことにより、
沿線自治体や経済団体が猛反発するという事態に。
結局、ダイヤ改正後千葉支社からはこれといった動きはなく、
沿線住民は泣き寝入りする羽目に。
尚、東奥日報の報道をもとに、
各都道府県の反応を以下の地図でまとめてみた↓
いかがだろう。
何とも露骨で面白い結果が露になったではないかw
やはり先述の千葉県のケースが、
マップにも色濃く反映されているのが分かる。
また、福岡県も「懸念以上だった」と回答している。
確かにJR九州では、
みどりの窓口廃止や駅の無人化ラッシュが急速に進んでおり、
それが影響しているものと思われる。
そして、このデータから分析してみると、
西日本エリアの各府県を中心に、
「懸念あり」、「懸念したマイナスの影響が生じた」、
「懸念以上だった」と回答している。
尚、ここで言う西日本エリアとは、
JR西日本、JR四国、JR九州のエリアである。
特にJR四国、JR九州エリア内は、
全県が「懸念あり」以上の回答となっているのが分かる。
最近JR四国ではコスト削減のため、
駅舎を解体しバス停レベルの待合室を設置したのがニュースにもなった。
一方、意外にもJR東日本エリアの各都県においては、
「懸念あり」以上の回答が少ないことが分かる。
しかも、特に人口減少が深刻な東北エリア周辺に限って、
「ない」と回答した県がほとんどではないか。
少なくとも東北エリアにおいても、
みどりの窓口廃止や駅無人化、
列車本数の削減や駅廃止などが進められており、
他のエリアと同様の境遇を味わっているはずだが、
なぜかここでは落ち着いた回答となっている。
あくまでも推測ではあるが、
みどりの窓口廃止や駅無人化、
列車本数の削減や駅廃止などが進められていながらも、
そもそも鉄道を利用する沿線住民が少ないが故、
このような回答をしているのではと察した次第である。
さて、我が青森県はどうなっているのかというと、
マップを参照の通り、
「懸念あり」と回答している。
詳細としては・・・
- 青い森鉄道・八戸線(三戸~鮫間)直通運転廃止(2018年)
- 快速しもきた青森~大湊間直通運転廃止(2021年)
- コロナ禍における東北新幹線の減便(2021年)
などを挙げており、
県鉄道対策課によると、
八戸線の直通運転廃止は通勤通学の利便性低下、
新幹線減便は観光振興への影響が懸念されたという。
因みに県ではJR東日本に、
八戸線と青い森鉄道の直通列車復活を要望していたそうだ(いつの間にw)。
ご存じの通り現時点では復活していないが、
その代わりに2020年のダイヤ改正において、
八戸駅での対面乗換(同じホームでの乗換)が実現されたことで、
ひとまずは落ち着いた模様。
一方、個人的に最も懸念した事項としては、
「駅の無人化」である。
この10年間で無人化した駅は数多く存在する。
しかも、みどりの窓口廃止⇒自動券売機のみ設置⇒無人化
という段階的なコスト削減ならまだ致し方ないと思うが、
JR東日本の場合、
みどりの窓口廃止⇒無人化
という階段を踏み外すパターンで削減を行っているため、
それが個人的には最も懸念している事項である。
一気に自動券売機まで撤去してしまったら、
切符すら買えないではないか。
以前にも記事で解説したが、
まだ青い森鉄道のほうが段階的なコスト削減を行っており、
利用者に対する配慮がなされているのがおわかりいただけただろう。
これに対しJR東日本は、
「高い公共性の一方で、事業存続のため収益も確保する必要がある。多くの制約下で駅や列車ごとの混雑状況を考慮しながら、運行本数や発着時刻を調整している」
「一人一人にとっての最適は異なる。全ての客が満足できるダイヤは難しい」
とコメントしているが、
そこは一鉄道会社、
しかも海外で一大プロジェクトを仕掛けるJR東日本として、
最大限の工夫を凝らすべきではないかと思う。
と、改めてダイヤ改正による懸念を味わった自治体が、
いかに多いかが明らかとなったが、
地域住民とダイヤ改正はまさに表裏一体の関係だと感じた次第である。
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