6月4日に投票が行われた青森県知事選。
最終的には4人が立候補したが、
事実上、元青森市長の小野寺氏と、
元むつ市長の宮下氏の一騎打ちとなり、
その結果はどうなったのかというと・・・
元むつ市長である宮下氏に軍配が上がった。
★開票結果★
- 宮下宗一郎(44) 404,358 当
- 小野寺晃彦(47) 174,155
- 横垣成年(63) 10,516
- 楠田謙信(66) 4,769
今回の青森県知事選は三村氏退任により、
実に20年ぶりというビッグイベントとなったが、
特記すべき点はそれだけでは終わらなかった。
今回の青森県知事選の特色を挙げると以下のような感じである↓
- 約40万票という投票者数の概ね7割を獲得した点
- 約40万票の得票は木村守男氏が再選した1999年以来である点
- 県都の首長であった小野寺氏には約23万票という大差をつけた点
- 全40市町村のうち19の首長並びに三村氏や大半の自民県議は小野寺氏を支持していたが、それを大きく覆した点
- 57%という投票率は2003年の三村氏当選以来20年ぶりである点
- 戦後史上最年少である44歳で当選した点
- 下北からの知事は戦後初である点
ざっくりと特色を挙げると以上の通り。
まずは何といっても、
宮下氏が約40万票という投票者数の概ね7割を獲得し、
県都の首長であった小野寺氏には約23万票という大差をつけた点が、
今回の知事選を波乱の展開にさせた。
しかも、当初青森県内全40市町村のうち、
19市町村の首長並びに三村氏や大半の自民県議は小野寺氏を支持していたのだが、
それを大きく覆した。
これも当初では予想だにしなかった出来事である。
多くの政治関係者は小野寺氏を支持していたが、
青森県民の大半は宮下氏を選択。
大きな乖離が生じた瞬間だ。
個人的な見解としては、
小野寺氏は「県内有料道路のETC化」や「青い森鉄道へのsuica導入」、
県内6圏域の特色を生かし年間創業○○件、
観光客数○○人呼び込みを目指すなど、
具体的な政策を数字で表していた。
それに対し宮下氏は第一に「青森新時代」のスローガンを立ち上げ、
数字に表せる具体的な政策はあえて公にせず、
「これからの青森県をどのようにしたいか?」と抽象的に公言し、
SNSなどを活用しながら県民の支持を得て、
勢いで知事選を突破したという印象が強かった。
一方、政策を具体的な数字で表すことは立候補者にとっても有権者との信頼性が高まり、
目標を立てやすいというメリットがあるため、
小野寺氏の政策が決して響かなかったというわけではない。
今回の青森県知事選では、
小野寺氏が弱かったのではなく、
宮下氏の勢力が強かったというべきであろうか。
恐らく、他県で小野寺氏のような人物が立候補すれば、
宮下氏並みの勢いのあるほかの立候補者がいない限り、
多くの票を獲得したであろう。
選挙ポスターのデザインに関しても、
小野寺氏はいかにも実直、誠実という表情をしており、
安心して票を入れられるような雰囲気であった。
一方、宮下氏はそれとはまた違った空気を出しており、
まるでワールドカップの試合並みに内なる情熱たるものが湧き出るような表情であった。
一言で表すのは何とも難しいが、
宮下氏はいわば”カリスマ性”たるものが突出していたのだろう。
女性からの支持も厚く、
街頭演説に来るな否や、
宮下氏の顔が描かれたうちわを振りながらキャーキャーという歓声が止まなかった。
まるで有名なアイドルが来たのか!?
と思わされるほどであった。
確かにこれなら無性に票を入れたくなる。
選挙ポスターは立候補者のセンスが現れる部分であるが、
ここでも宮下氏が一歩上手であったというわけだ。
これほど白熱した知事選など青森県では久々ではないだろうかw
さて、40万票を獲得した新青森県知事・宮下氏は、
6月29日から就任。
これまで三村知事の側近であった青山副知事などの”ミムラーズ”は一斉に退任する。
早速報道では「県庁大改革」と銘打って、
まずは縦割り行政のテコ入れなどに注力する模様。
とりわけ、当ブログネタの主軸である公共交通政策に関しては、
一部の報道で「青森版MaaS」たるものを展開するそうだ。
具体的な政策は不明だが、
MaaSとは「Mobility as a Service」であるため、
文字通り青森県内の鉄道路線の利便性を向上させることに期待したい。
以前もお伝えした通り、
現在は津軽線蟹田以北の存続か危ぶまれているため、
この問題を早急に解決していくことが望ましい。
話が変わって、
青森県知事選と同日に青森市長選も投開票が行われ、
立候補者の職はぞれぞれ会社経営者、元芸人、医者、県議という、
これまた異色な顔ぶれであったが、
当選したのは会社経営者である西秀記(にしひでき)氏となった。
青森市新町に本社を構える株式会社西衡器製作所の代表であり、
青森商工会議所の副会頭にも勤めている。
基本的な考え方は小野寺氏寄りであるため、
公共交通政策では青森駅周辺整備や操車場跡地新駅設置計画などに注力。
年齢的には若くはないものの、
顔立ち(特に控えめな笑顔)がドラマ「ドクターX」に出演する、
俳優の勝村政信にそっくりだと個人的に感じたため、
その彼が主演を務めるスピンオフドラマより、
「ドクターY」とでも勝手に愛称をつけるとした次第であるw
果たして”ドクターY”こと西秀記氏は今後、
青森市政にどのようなメスを入れていくのか注目したい。
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